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「お金の流れでわかる世界の歴史」(大村大次郎著)を読んだ。

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「お金の流れでわかる世界の歴史」(大村大次郎著)を読んだ。


audibleで「お金の流れでわかる世界の歴史」(大村大次郎著)を読んだんですね。まぁ、最近、哲学とか歴史系統の本を読んでいますね。



この「お金の流れ~」の本は、経済の流れで歴史を読み解こうみたいな本ですね。この作者の大村大次郎氏は元国税庁のマルサとかやってた人らしくて、いろんな財テク本を書いている。国税庁に勤めている傍らでいろんな歴史書などを読み漁って歴史についても造形が深いらしい。この「お金の流れ~」をよんでみてもいろんな世界史の知識に詳しいというのはよく分かりますよ。


本書を読んで基本となるのは、税制を失敗した国は大国でもすぐ滅ぶということである。ローマ帝国のような大国でも、初期の頃は安定した税収で国家運営ができてきたものが、末期の頃になると税収がうまく行かなくなって国家制度を保つことができなくなって崩壊している。かの悪名高き暴君ネロは暴君とは言われているが、財政面では結構頑張っていたらしいことが書かれていた。


国が滅びるパターンというのは、貧富の格差が広がって一部の富裕層が脱税などが出来るように国家の制度を作り変え始めると起きるという。現代社会においてもタックスヘイブンなどを利用して富裕層が脱税しようという流れがあったりして、国際的な大変動がありうるかもしれないと著者は予想している。特に現代日本においては消費税のような中低所得層に負担が高い税制を設けた上で、企業の方は規制をゆるくして自由化するような新自由主義のやり方に政策転換しているので、そのうち貧富の格差が洒落にならんまで進んで革命とか起こらないかなー?みたいな想像をする。


この本は古代のエジプト時代から近年のリーマン・ショックまでの歴史をお金の流れという視点で説いている。読んでいて分かるのは、歴史というのはさまざまな価値のやり取りで生み出されてきたということだ。フランス革命にせよ第一次第二次世界大戦にせよ、国家間の金融の流れにより革命や戦争が引き起こされてきた。ナチスドイツの躍進についても、ワイマール共和国時代での第一次世界大戦の賠償金を支払うためのハイパーインフレヒトラーの台頭を許してしまった。ヒトラーはそれこそ人種差別や大虐殺ばかりが注目されがちだが、政権をとったばかりの時期は周辺国をうまく懐柔して合併を成功させて、ヨーロッパに安定をもたらしたとしてノーベル平和賞も取り沙汰されてたらしい。その後、ヒトラーノーベル賞を与えようとした財団などは口をつぐんだらしいが、ヒトラーの政策は最初期はドイツに大不況からの経済的な回復をもたらしていたらしい。


ユダヤ人というのは国際的なネットワークを張り巡らせた両替商をやることで経済的に成功者が多かった事も書かれている。ユダヤ人の歴史というのは迫害と漂流の繰り返しであり、一族は世界に散り散りバラバラになってしまった。ところがその事で多くの国の情報をネットワークとして共有してしまうという思わぬ利点を得てしまい、国家間の通貨の価値を正確に捉えて両替する両替商はユダヤ人の専売特許になってしまったのだという。キリストが神殿のまえで商いをしている商人に怒って暴れまわったというエピソードがあったが、あれはユダヤの両替商だったとのことだ。ユダヤ教は他の宗教とは違い、蓄財を美徳とするところがありユダヤ教のラビが商人として働きをすることもあったという。


ユダヤ人の商人でもっとも有名なのはロスチャイルド家だろう。この一族は全くユダヤ人の国際ネットワークを活かした商法により財を築いており、一族はヨーロッパ中に散らばって、国家間での同盟や不和を読み解き、金をどこに融資したら一番儲かるのかを読み切って金融業で繁栄した。ナポレオンが一時的に天下を取り没落することまで読み切っており、勝てると予想した戦争には一時的に戦費を負担したりしていた。


また、イギリスという国がどのようにして成功していったかも書かれているが、大体の近代史における全ての戦争はイギリスが利益を求めて植民地政策を広げて行ったことが多かれ少なかれ影響している。イギリスの植民地政策というのは兎に角、陰湿で、支配者層に抵抗させないために民族間の不和を煽って人種差別のカースト制度を作り上げることを得意としていた。清国から利益を吸い上げるためには国家でプロモーションしてアヘンをも売りさばいた。大英帝国エリザベス女王の時代から国営で海賊を運営して、他の国から略奪をすることと奴隷貿易で国家運用の資産を賄っいていたという。


他にもアメリカの大恐慌の理由とか、日本の明治時代からの大躍進の理由などそういう話が色々と書かれていた。高校生ぐらいの世界史の知識があると更に楽しめる本ですね。また、私事だけどはてなのキャンペーンで歴ログさんの「驚きの世界史」が当選で当たったので、しばらくは歴史関係の本を重点的に読んでいこうと思う。



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