
コンテンツの吸収というのは技術だよなーと思う。
さて、今日は週末土曜日でお休みだ。昨日は金曜日で週末だったのだけど、精神的に気力を使い果たしてどろっどろだったので、夜はジム通いをサボって最近評判の「国宝」のレイトショーに行ってきた。
国宝はスッゲーなぁという感じ。いや、これだと小学生並みの感想だ。歌舞伎の女形のお話なのだけど、感心するところが多かった。主人公がヤクザの息子から人間国宝になるまでのお話なのだけど、芸術をひたすら追っかけて行き、人間関係も善悪も全て踏み越えて芸術のために犠牲にしていく物語。
劇中で歌舞伎の舞台が実際に俳優たちが演じたりしてるんだけど、その演技の凄まじさにひたすら感動した感じ。物語の筋自体は昼ドラのどろどろ人間模様で、歌舞伎の家系の後継を巡るどろどろの愛憎劇という感じなのだけど、人間が芸というのを極めようとしたときに狂気を踏み越えないと辿り着けない領域というのがあるんだなーと思った。
僕自身、物書きの端くれなので考えることが色々とあった。そもそも歌舞伎でも文章でも一定領域を超えて極めようと思った時は、正気の練習では辿り着けない場所があるんだよね。才能+極限の努力で初めて見える景色というのがあって、主人公は最後の最後でそこに辿り着くんだけど、犠牲にしたものが多すぎてあんま幸せそうではなかった。
というか、主に渡辺謙がやってる父親役の判断が全ての人の人生を狂わせているよなーというのは思う。それぐらい主人公には才能があったと思うんだけど、それで跡目を継いでも結局歌舞伎の世界というのは血縁が全ての世界なので、誰も得しないという。
まぁいいや、この映画については俳優の歌舞伎の演技が凄すぎてヤバいというのが感想の全てだと思う。古典芸能なんて普通に見て何が楽しいんだよ? というのが、多くの現代人の考えてることではないかと思うのだが、芸を極めようと思ったときに人間がそこに想いを込めたものという、芸術論全般にも通じる考え方が語られていたように思う。
なかなかよかったなーと思ったから、原作の吉田修一の原作の「国宝」のオーディオブック買っちゃったよ。僕は通勤途中にオーディオブックで読書をする習慣があるので、今読んでるユヴァル・ノア・ハラリの「Nexus」を読了した次はこっちを読もうと思う。面白い物語については積極的に吸収しようとしてるのである。
僕は創作もやるので、いろんな物語コンテンツを積極的に吸収する必要があるんだよね。物書き趣味がある人なら、書けないと悩むことがあるかもしれないけど、基本的にはインプットが足りてないのがほとんどである。いろんな音楽・映画・小説・アニメなどのコンテンツを浴びるように吸収して、その中から自分が好きだと思える作品を見つけているのなら、そこから自分の書きたいことを見つけるのも容易だ。
僕もカクヨムのような素人の小説から、Netflixで映画やアニメを見たり、そして今回のように時間があれば映画館で映画も見たりする。これは自分が好きでやってることでもあるけど、小説を書くための訓練でもある。
小説を書くのというのは、まずは既存の作品の多くのパーツを模倣することなんだと思うんだよ。これは一つの作品から全部を盗めばパクリであるが、いろんなジャンルのさまざまな作品からつぎはぎでいろんな良いところを盗むことは、プロでもやってる創作の秘訣である。
これは確か、漫画の神様の手塚治虫が漫画の書き方の本でも書いていたが、手塚先生の作品自体も自分の世界観のキャラクターのつぎはぎのパーツをさまざまな名作のパターンに乗せることで作品を作ってる。
映画というのはこういう物語の摂取に重宝するのである。いくらか払って席に座っていたら2時間程度で一つの物語を摂取することができる。小説などの場合も短いものでは2時間程度で読了はできるかもしれないけど、文章の場合はある程度能動性というのを求められる。アニメや映画などの画像メディアの場合は、受動的に画面を見ているだけで脳内を異世界に飛ばすことができる。
どんな作品を見たいかは好き好きかもしれないけど、どんな作品を選ぶかという選球眼についてはコツがいるかもしれないな。読書なんかもそうだけど、今まで他の作品をあんまり読んだことがない人が読書で面白い作品を探そうと思っても難しい。こういう時は身近にいるそういう読書とか映画が好きな友達などに、自分の好みを伝えてレコメンドしてもらうといいかもしれない。
単純に、人生を楽しむためにもこういう映画とか小説の選球眼というのは磨いていて損はないのである。小説の場合は図書館に行けば無限に本を借りられる。その中から面白い本を選ぶ感性が磨かれているのなら、無料で無限に時間が潰せる。わかる人はわかると思うけど、無料で暇を潰せるスキルというのは人生を有意義に過ごすための最強スキルなのである。
冒頭の映画の話から遠くに来たけども、芸事を磨くにしても人生を豊かにして有意義に過ごそうという目的でも、世の中に溢れてるコンテンツの中から自分の趣味にあった作品を選ぶスキルは重要だ。現代はネットのおかげで無料で楽しめるコンテンツはたくさんあるけど、その中にノイズも無数にあるからね。少なくとも、僕はそんな中からいいものを選ぶ能力というのが、人生を豊かにする能力であると思う。