ちゃんとしたベースがなければネットの知識は使えません。
最近、ネットの情報は信用ならんなと強く感じていて、書籍等で情報収集する路線へ回帰している僕です。ごきげんよう。
いや、以前はTVなどの旧マスメディアへのカウンターとして、ネットで当事者としてブラック企業を告発しようだとかでネット空間が使われていた事もあったのだけど、今は違う。最近ではGoogleやらYoutubeで適当に探し物でもしてもらえば分かると思いますけど、うっすい情報をじゃぶじゃぶ水増しして結局何が言いたいのか分かんないような記事が上位表示されるようになっており、結局、ネットで実際に使える情報が見つからない。
それに、特定の情報に関しては陰謀論やら差別主義やらの強いバイアスがかかっており、それが原因で現実世界まで対立が発生するような事態になっている。ネットでのメディアリテラシーが大して育ってない人はあれらの情報を鵜呑みにしてしまうのであり、それは旧マスメディア時代でやられてた大衆の動員の引き写しなんだけど、『ネットde真実』という風なスラングがあるように、自分は誰もしらない真実を知っていると思い込ませるように情報が加工されており、それらの人々が集まってカルト化して騒動を巻き起こすことがある。アメリカでのオルタナ右翼だとかQアノンあたりだったりするんだけど、現実離れした陰謀論を信じ込んで実際に殺人事件などが起きてしまうのであり、こういうネットでのデマは個人の問題としてほっとける領域ではなくなってるよね。
どうも、新聞社や研究者やシンクタンクなど、そういう情報で商売している組織は、実際にビジネスで利益につながるような情報は有料のデータベースとしてサブスクなどで公開しており、無料でネットに公開されている情報というのはデマやフェイクニュースばかりになってるというのは、政経ニュースではありがちなんだよね。こういうブログの記事があった。
これは、最も重要な情報の多くが、ペイウォールの裏側に閉じ込められることを意味します。そして、私はニューヨーカーのファンではありませんが、フーバー研究所がリチャード・エプスタインの悪名高い記事で、コロナウイルスの脅威を軽視したことを懸念していますが、エプスタインを論破しているアイザック・ショティナーのインタビューは毎月の購読費が必要です。反論よりも、嘘の方が入手しやすいことを意味しています。ニューヨークのエリック・レヴィッツは、私たちが知る最高で最も多作の左派政治評論家の一人です。しかし、あなたがニューヨークの購読者でない限り、毎月の彼の発言を聞くことはできません。
おそらくさらに悪いのは、非常に多くの学術的な文章が非常に高額なペイウォールの裏側に隠されているという事実です。YouTubeの白人至上主義者が人種やIQについて語っていますが、学術的な反論を注意深く読みたい場合、学術誌の出版社から正式なPDFを入手するのに14.95ドル掛かります。組織的にアクセスできない場合には、まともな人は1本の論文に払わない額です。(私は最近、学術論文にアクセスしようとしても、39.95ドル以下で入手する方法が見つからなかったため、アクセスを断念しましたが、その場合は論文は金ではなくゴミです。) 学術出版は悪夢のようなパッチワークで、あるサイトでは法外な料金で多くの論文が宣伝され、別のサイトでは無料で宣伝されていたり、大学や公共図書館がアクセスできるかどうかは別として、特定のデータベースからのみアクセスできなかったりします。(図書館は、購読料が異常に高額になることが多いため、予算を慎重に組まなければなりません。例えば、Journal of Coordination Chemistryの図書館の購読料は、年間11,367ドル掛かります。)
こりゃまぁ、日本でも当てはまる事で、陰謀論やら反ワクチンとかの疑似科学だとかそういう情報に関しては熱心なビリーバーが毎日毎日大量に情報を生産して拡散しまくる。例えば、僕は韓国に関しては隣国の人だという興味ぐらいしかないのだけど、嫌韓主義に囚われた人々は熱心に無料でもまとめサイトやまとめ動画を作って拡散する。実際に嫌韓ヘイトに関しては条例で規制しないと悪影響がでるようになってしまった。最近はこういう思想が流行りすぎて対するカウンターの流れも生まれているけど、客観的に二国間の歴史とか文化の違いなどを研究レベルで知ろうと思うのならばきちんと学術論文や書籍などを研究しなければならないのだけど、その知識にアクセスするためにはお金も根気もいる。結局、この手の陰謀論だとかは無料でアクセスしやすい情報、故に社会に広く拡散してしまう。
これはネットだけではなくて、書籍でも平積みされてるビジネス書なんかをぱらぱらとめくってもらえば分かるけど、膾炙しやすい言葉で読んだ人を気持ち良くするためになるべく単純化された成功哲学を切り売りする売文家の本ばかりが溢れている。読書猿さんがこういう記事をあげていた。
まぁ、こういう有害な情報を避けるためには、ちゃんと歴史や思想を勉強して、その知識がどういう位置づけなのか理解した上で使わないとならないということなんですよね。きちんとした教養を身に付けた上でないと、ネットを正しく利用して有益な情報を導き出すのも難しいということだ。