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「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督作)を観てきた。

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「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督作)を観てきた。


最近、全く映画を見に行ってないなーって思ってさらっと映画館に足を運んでみた。以前観た映画は「ジョーカー」だっけな?


www.ituki-yu2.net


今日はアカデミー賞を取ったと話題の作品の「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督作品作)を観てきた。


www.parasite-mv.jp


僕が映画を見終わった直後に感じた感想はこちらだ。




図らずとも二作とも貧困や格差を扱った作品なのだけど、「万引き家族」にせよ「ジョーカー」にせよこの頃の映画などのムーブメントってこの辺りなのかもしれないですね。


とにかく、この作品は扱ってるテーマも暗いし、映像が始終暗澹とした感じなんですけど、所々に散りばめられたジョークがそれで重たくなる気持ちを軽くしてくれるって感じです。


じゃぁ、まぁ、ネタバレ無しの感想はここぐらいまでにしておきますかね。ここから先はネタバレも含みます。






僕が途中まで観て感じたのは、この貧乏人の家族がいつの時点で大失敗して破滅するのか? という不安定感だった。父親がいうように低所得者には日々の生活に計画性なんてものは無く、未来に期待せずその日その日をなんとか生き抜く事でやりくりしている。この家族達が富裕層の家族の家を乗っ取ろうと計画できたのは、偶然に転がり込んできた幸運からだった。


ある程度の時点で満足してこの寄生虫の生活を維持していければ、本当にこの貧乏人の家族は金持ちの娘と結婚することができて貧困層から脱出することも可能だったのかもしれない。物語が破綻するのは、全く自分たちと同じどころか更に低い存在である地下住まいの夫婦が原因だった。


この、半地下の家族から更に悲惨な生活を送っている地下ぐらしの夫婦というように、この「パラサイト」の世界ででは豊かさが住んでる場所の高さで示されているのかもしれない。


なんとか危機から逃げ出して家に帰ろうとすると大雨の為に、半地下の住まいが水没してしまう。貧困層の人間というのは、ただ暮しが貧しいだけではなく災害が起きたときも、全く蓄えなどもないので被害をもろに受けるのである。これは現代日本でも同じことで、ある程度蓄えがあるものが住んでいる場所などは大雨が降ったりしても水没しない安全な土地である。それに対して貧乏人が暮しているのは地震や災害などがあったときは大きな被害を受ける地盤が弱かったり、堤防が崩れると水が流れ込む低地だったりする。去年、台風19号で色んな場所が洪水したときにそういう事が話題になっていた。


この、貧富の差が大きく広がる資本主義国家では、財力があるものが総取りで財力ががないものは生きることすら保証されていない。例えば日本でも資産がある親の子供は、塾などに通って教育を受けて大学に入りちゃんとした仕事をすることができるけど、子供に教育を受けさせる事ができない家庭では、成長しても非正規雇用ワーキングプアなような生活しかできない。というか、そもそも子供を作ること自体ができないだろう。


韓国はこの競争社会が日本より更に極端で、作中でも語られていることだけど「警備員一人を雇おうとしたら大卒が300人殺到する」。韓国の大学受験などは苛烈らしく、深夜まで子どもたちが学習塾で勉強していたり、大学受験のために交通規制が引かれたりするなど、受験で人生が決まってしまうのである。


この物語の結末の部分で、父親は社長を刺すのだけど、あのシーンで地下住まいの夫を全く同情しなかった社長への怒りなのか、それとも自身の劣等感からだったのか? それは分からない。ただ、あのシーンで父親が刺さなければ半地下の家族たちは別になにも責任を問われることはなかったのではないだろうか? 立場が違う3つの階層が出会うことで破滅的な出来事が起きてしまう。


この事は社会で古代インドのようなカースト制がすでに生まれているという事を示唆しているのかもしれないですね。我々の社会は資本主義とか民主主義などの、自由を教義とする社会を築いたはずだったのだけど、結局、資産の多寡で階層ができてしまった。これは富裕層と貧困層だけでなく、この作品で示される「半地下」とそこから更に深い「地下」まで細分化していってしまう。この階層の間で人々は分かり合おうとするが、結局、近づくと悲劇が起きる。


「ジョーカー」やこの「パラサイト」で示されている事というのは、今社会で起きている現実的な問題だろう。日本でもこれから先、老後2000万問題などで貧困層は死ぬまで働かされることになっている。この映画の最後で長男が見た、あの家を買うことで父親を救い出すという夢は絶対に叶うことが無いだろう。そういうどうしようもない暗澹たる社会の壁を感じさせる作品であった。

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