「天才たちの日課」(メイソン・カリー著)を読了した。
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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いやー、面白い本だった。世の中で偉業を残した天才たちの日課をこれでもかと集めまくった一冊である。この本の中では、モーツアルトやベートーベンの様な音楽家、キルケゴールやニーチェの様な哲学者、トーマス・マンやヘミングウェイ、村上春樹などの作家の生活習慣が集められている本である。
僕も日課というか、日常生活のルーチンに関してちょっとこだわり過ぎなぐらいこだわるところがあるので、ほかの人の生活習慣を読んでみたいと思って、今回この本を手に取った。僕はまぁ、異常なほどに決まった時間に決まったことをすることにこだわるのだけど、世の中の偉人にも僕と同じ様な人が居るので安心した。まぁ、逆に自分の思いつくままに好き放題やって、結果を残したような偉人もいるのでご安心を。
なんか、この本で集められた人は職業作家が多かったので、執筆の習慣などでいろいろと紙面が割かれていて、僕も小説ワナビーなので文豪たちの執筆習慣なんぞが気になった。ちょっと抜き書きして本を紹介しておこう。
まずは、僕が一番参考にしたいと思ったのはこの人である。
十九世紀のイギリスの小説家トロロープは47編の小説と16編のその他の著作を、毎日早朝に時間を捻出して書き上げた。トロロープはほとんど、郵便局員として働き続ける傍らで、兼業で小説を書き続けてそれだけの生産性を誇っていた。
文筆家として生きてきた者 ─ ─日々 、文学的労働に従事している者 ─ ─ならだれでも 、人間が執筆をするのに適した時間は一日せいぜい三時間であるという私の意見に賛同するだろう 。しかし 、文筆家はその三時間のあいだ 、途切れることなく仕事ができるよう 、訓練すべきである 。つまり 、ペンをかじったり 、目の前の壁を見つめたりすることなく 、自分の考えを表現する言葉が見つかるように 、おのれの頭を鍛えなければいけない 。当時 、私が身につけた習慣は ─ ─いまでも私の習慣なのだが 、最近は少し自分に甘くなっている ─ ─目の前に時計を置いて 、十五分間に二百五十語書くことだった 。すると 、じっさいに二百五十語 、時計の進みぐあいと同じくらい規則正しく出てくるようになった 。しかしその三時間は 、すべてが書くために費やされるわけではない 。いつも書きはじめる前に 、前日に書いたものを読む 。それに三十分かかり 、その間 、おもに耳を使って単語やフレ ーズの響きを吟味する … …このように時間を区切ると 、一日に普通の小説本の十ペ ージ以上書くことができ 、それを十ヵ月間続けると 、一年で三巻シリ ーズの小説が三作できあがる ─ ─まさに出版業界の人間が激務に悲鳴をあげそうな分量だが 、それはともかく 、世の中の小説の読者も 、一人の作家の本をこれ以上読みたいとは思わないだろう 。
トロロープは日常の中で習慣として小説を書き続けた。一つの作品が書き終わると、すぐさま新たな原稿用紙を用意して、次の作品に取りかかるほどであった。そのほとんどの作品は早朝四時に毎日机の前にすわり3時間書き、執筆を終えてから朝食の準備をした。
アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイは、執筆するスタイルについてこのような言葉を残している。
取りかかっているのが長編であれ短編であれ 、毎朝 、夜が明けたらできるだけ早く書きはじめるようにしている 。だれにも邪魔されないし 、最初は涼しかったり寒かったりするが 、仕事に取りかかって書いているうちにあたたかくなってくる 。まずは前に書いた部分を読む 。いつも次がどうなるかわかっているところで書くのをやめるから 、そこから続きが書ける 。そして 、まだ元気が残っていて 、次がどうなるかわかっているところまで書いてやめる 。そのあと 、がんばって生きのびて 、翌日になったらまた書きはじめる 。朝六時から始めて 、そう 、正午くらいまで 、もっと早く終わるときもある 。書くのをやめるときは 、からっぽになったような感じがする 。だが同時に 、からっぽじゃなくて満たされた感じもする 。好きな相手とセックスしたあとみたいにね 。心から安心できて 、悪いことなどなにも起こらないという感じだ 。次の日にまた書きはじめるまで 、どんなことがあろうとなんの意味もない 。大変なのはそこ 。翌日まで待つということだ 。
次の執筆の時に向かって、書き始められる手がかりを残しておくと言うことである。経験上、ある程度の長さの小説ではこれが重要になる。小説を書くときは何度も読み返すのだが、執筆時にテンションが上がっていると筆ののりも違う。書いていて、調子が良いぐらいの時に筆を置くのが長編小説を書くコツである。
バーナード・マラマッドも教師と作家を兼業しながらもおおくの作品を残した。その生活は異常なほどに時間厳守の生活であったという。こういう言葉をのこしている。
マラマッドは時間にとりつかれていたが 、仕事をするにあたって 、特定のやり方に固執することはなかった 。あるインタビュア ーにこう語っている 。絶対的な方法などない 。このテ ーマについては 、ナンセンスなたわごとが巷にあふれている 。自分は自分でしかないのであって 、フィッツジェラルドでもト ーマス ・ウルフでもない 。ただ 、すわって書くだけだ 。特定の時間や場所はない 。ありのままの自分に合わせるだけ 。きちんと規律が守られてさえいれば 、どんなやり方で書こうがかまわない 。もし規律が守れないような人物なら 、どんな呪術的行為も効き目がないだろう 。秘訣は時間を ─ ─盗むのではなく ─ ─作ること 。あとは書くだけだ 。スト ーリ ーを思いついたら 、それを書きとめる 。そうすれば 、もう軌道にのったも同然だ 。いつかはだれでも 、自分にとっていちばんよい方法がわかる 。ほんとうに解明すべき謎は 、自分のなかにあるんだ 。
この本の中では書かれていないが、レイモンド・チャンドラーも同じように、決まった時間に決まった期間机の前に座り続けたという。作家というのは、机に向かって集中力を維持することが求められる職業である。たとえ何も書くことが無いとしても机に向かって1日2~3時間は毎日座り続けないといけない。どれだけ文学的才能にあふれた人物であろうと、机の前に30分も座ることができないのなら作品を書くことができないだろう。
総評。
この本は読む人によって注目する場所が違ってくる本です。僕は生活習慣を遵守するタイプなので、同じ様なスタイルの作家ばかりが目につきました。中には、まったく思いつくままに生活を送りながらも「失われた時を求めて」のような作品を残したマルセル・プルーストの様な人物もいます。ただ、扱われている偉人は作家が多いので、作家の執筆生活を知りたい人が読むと面白いかもしれないですね。僕の感想としては、知的生活を送る上では朝型の規則正しい生活が必要不可欠ということです。また、散歩などの運動も必要なようです。
いろんな知的生活での生活習慣を知りたい人は面白いかもしれません。
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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今日の徒然
朝は雨降ってて走れなかったのに、今は良い天気。。。
— ゆきにー@雑文書き (@yuki_20211) February 25, 2019
なんだこれ、最近このパターン多過ぎだ
orz
ランニングの時、雨で、その後晴天に変わるの多過ぎである。今日も雨で走れなかった。いい加減にしないと、僕は太りやすい体質なので体重が増えてやばいのである。糖質制限も本気でやらなければ。