芸事の上達に銀の弾丸は存在しない。
知っている事とやれる事は違う。
当たり前の事だけど、知っている事とやれる事は違うよねと今更ながら思う。この様な記事を読んだ。
この記事のなかではゲームの上達を例にだして、知識があるだけでは操作をうまくやることができず実際にゲームの上級者になるためには血のにじむような練習が必要であることが書かれていた。この様な文章が出てくる。
「なぜ自分はできないのか」はGoogleも教えてくれない
だから、実はスキルの獲得のために重要なのは、本を読む、セミナーに出る、あるいはGoogleで調べる、YouTubeを見るといった、知識の獲得ではない。
逆に、必ずやらなければならないのは、「なぜ自分はできないのか」を、練習によって分析することだ。
それらは、自分に固有のものなので、Googleにも本にも出てこない。
したがって、語学、会話術、文章術、生活習慣、対人関係……そうした「スキル」を獲得するための細かい道筋は、一人ひとり違う。
「知ってる」と「できる」がまったくの別物なのは、そのためだ。
「絵を描くスキルを得たければ、まず絵をかけ」
「起業スキルを身に着けたいなら、まず起業せよ」
「コミュニケーション能力を身に着けたいなら、コミュニケーションせよ」
というアドバイスは、本質を突いている。
それはつまり、試行錯誤せよ、ということに等しい。
これは本質を突いている。僕もプログラミングを生業として食っていけてるけども、プログラミングを勉強するためには本やwebをいくら読んだ所で駄目で、実際に自分の手を動かして動くものを作らなければいつまでも上達しない。自分の手を動かして実行してみないと上達しないのはプログラミングに限らず、イラスト、小説、文章、筋トレ、全てにおいてそうである。
他にもプログラミングの仕事をやっていて気がつく事がある。プログラミングをやっていてわかる事は、何かすごく先進的ですごそうな技術に関しても、実装するのは当たり前の事の積み重ねで、作業は退屈ですらある。結局の所、こういう芸事の上達に銀の弾丸(魔法のように、すぐに役に立ちプログラマの生産性を倍増させるような技術や実践 (特効薬))は存在しないということだ。
当たり前を積み重ねて特別になるという事だ
僕は生活を改善するためにライフハックの技法を試してみたりしてたりするけど、これに関しても何か特別な方法やツールを使うことで生活の効率が一発で良くなるような銀の弾丸は存在しない。
ライフハック情報の使い方というのは、色んな仕事の改善法を実際に自分の生活で試してみるという事だろう。効果があれば引き続き使って、意味のないものは切り捨てる。こういうプロセスで実際に自分の生活を改善する。考え方としてはPDCAサイクルなどフレームワークはあるけども、実際の所こういう概念を自分の考え方になじませて、自分にとっての当たり前にまで落とし込まないといけない。
随分と前に書いたブログの記事であるけど、こういう言葉を紹介した事があった。
杉野英実ってパティシエさんの言葉らしいです。
身一つでフランスに修行に飛んで、地方の菓子店で雑用しながら 週末パリでスイーツ巡り。一番感動したお店のパティシエに、4年間手紙を書き続け 4年後についに採用となる。菓子作りの秘伝を学んでやろうと意気込んで行ったけど,なんとレシピや作り方は、学校で教えるものと全く同じだったというお話。使っている素材も、高級品ではなく普通の素材。じゃあ何で美味しかったのか?それは、普通の素材でも少しでも痛んでいるものは使わず教科書どおりの焼き方でも、少しでも焼き加減を間違えたらそれは捨ててしまう。教科書どおりの当たり前のことを、すべて忠実に実行していたから。どのお店よりも、それができていたからだった、という。フランスで、4年間憧れ続けてようやく働けるようになったパティシエのお店でみたものは、特別なものや目新しいものではなく、ただ、すべてにおいて「手を抜かない」という精神だったそう。
身体で覚えると言うことはそう言うことなんだろうなと思う。
「当たり前を積み重ねると、特別になる」。こういう風に上記の杉野英実さんはまとめていた。これは芸事全般でそうである。どんなに優れた上級者であれど、当たり前のことを当たり前になるまで練習を積み重ねてきたのであり、なにか特別な事をやってきたのではない。特別になるためには、何度も何度も基本的な練習の積み重ね。それが出来る人というのは極僅かなのであろう。