
別に小説家じゃなくても小説書いて生きてくのはできるよなーと。
最近、またあらためて思う。小説家って、職業じゃないんだよな。生き方だと思う。
いや、これは酸っぱい葡萄じゃなくて、わりと本気でそう思っている。
今週は仕事も休みがあったので、少し気が楽な一週間だ。とはいえ生活は楽じゃない。給料が特別高いわけでもないし、毎月の支出を抑えながら生きている。そんな日々の中で、小説を書くことだけは手放したくないと思っている。
とりあえず今やってるのは「玲と真輝のシリーズ」の「名無しの幽霊と感情を忘れた君」のkindle出版作業。それが終わったら2作目の「イヌガミギフテッド」。ひとまずこれらはもう賞に絡むのはないだろうなーと思うんで、とりあえずこの2作はKindleでぱっと出版してしまおうかなと考えている。すでにネットに上げているようなものだし、kindle本としてポートフォリオに入れてしまおう。
もっと言えば、このシリーズは僕にとって、ライフワークだ。
賞には落ちた。商業出版の道はまず無理だろう。でも別にいい。そもそも商業出版ってのは、よほどの運と実力と、タイミングが揃わなきゃ成り立たない世界だ。ひとつの賞を取ったところで、その後でヒット作が出ないとそれで終わりという話はよく聞くし、実際にそうなってしまった作家のnoteなんかも読んだりする。そういう人たちの文章には、自意識まみれでワナビーとそんなに変わりない。
それなら、もう自分の手で出してしまった方が精神衛生上幾分マシ。僕はそう思う。
Kindleでも、カクヨムでも、noteでも、今は自分の作品を発信する手段はいくらでもある。もちろん、それで食えるわけじゃない。でも、生活の一部として、小説を書き、出し、誰かに読んでもらうという営みを続けていく。それが僕にとっての「小説家」なんじゃないかと思う。
思えば、僕は昔からマーケティングが苦手だ。というか、拒否反応がある。
「売れること」に対して、どこかでアレルギーがある。人に媚びることを考え始めると、反射的に嫌悪感が湧いてきてしまう。たぶんこれ、インターネット黎明期の2ちゃんねる文化で育ったせいだろう。匿名性の中で、好き勝手書きまくってきたのが自分のベースであるし、このブログもその延長線上にある。ネットで金稼ぎという話になった瞬間に、天を仰いで「死ねばいいのに!!」と叫ぶタイプである。その割にはブログに広告も貼ってるしな。多分、食わず嫌いだろう。
だけど、今の時代はもう違う。
少しでもいいものを書けば、それを形にして、小さくてもお金に変えていくことができる。副業として、創作で小遣いを稼ぎながら生きていく。それが当たり前になっている。また、出版業界も昔みたいに「作家になる=商業デビューして本屋に並ぶ」という時代ではない。ちょっとした電子書籍でも、誰かの手に届きさえすれば、それでいい。
だから、僕も変わっていかないといけない。
苦手意識を少しずつ乗り越えて、「読みたい人に届ける」ことに意識を向けていきたい。生活が苦しいからこそ、趣味と実益をうまく結びつける必要がある。小説を書くことは、僕にとってただの趣味じゃない。自分の考えや感情を整理し、誰かと静かにつながるための手段だ。そういう意味では、むしろ日常の一部として、欠かせない営みになっている。
新人賞が取れなくても、バズらなくてもいい。
自分のペースで、納得できる形で、作品を出していく。それを読んでくれる人が一人でもいれば、それで十分なんじゃないかと思っている。
小説家っていうのは、やっぱり職業じゃない。生き方だ。
そう思いながら、今日もまた一文字ずつ、ページを埋めていく。