超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


SPONSORED LINK

ブログの日にブログ文化の衰退を嘆く。

f:id:yuki_2021:20180206234251j:plain:w300


今日は「ブログの日」だとさ。そんなものがあるならば僕が見逃すはずが無かろう。早速、ググってみた。

2月6日。株式会社サイバーエージェントが制定。インターネットにおける記録サービス、ブログの普及を目指す。

ブログの日とは - コトバンク


なんだ、サイバーエージェントということはアメブロの記念日か。2007年に2(ブ)6(ログ)の語呂合わせで制定されたとのこと。


ちょっと待て、百歩譲っても2を「ブ」とは読まんし、6も「ログ」とは発音しないだろ。ひょっとしたら音読み訓読みで自分が知らないマイナーな読み方があるかもしれないから念のためにググってみた。

  • 『二』の音読み
  • 『二』の訓読み
    • ふた
    • ふた(つ)
  • 『二』の人名読み・名のり
    • かず
    • つぎ
    • つぐ
    • ならぶ
  • 『六』の音読み
    • ロク
    • リク
  • 『六』の訓読み
    • むい
    • む(つ)
    • むっ(つ)
  • 『六』の人名読み・名のり
    • むつ


マジでサイバーエージェントの担当はどこから2(ブ)6(ログ)ってこじつけ思いついたんだろ? 思いつく限りの数字の変わった発音や異名を思い出してみたけど該当するものはない。例えば一二三……を「ひー、ふー、みー、よー、いつ、むー、やー」とも読むな。漫画家の「うたたねひろゆき」も表記は「一二三四五」なんだけど、理由はよく分からん。


どうもブログの日は光宙を「ぴかちゅう」と読んだり美剣士を「せふぃろす」と読んだりするキラキラネーム理論で作られていると思われる。名付け親の理想先行でそれっぽい文字を当てはめるだけという、ある意味無敵の日本語文法である。


キラキラネームがどういう理屈でああいう無理な読み方を決めることができるのか調べてみた。

日本の戸籍法第50条[18]、戸籍法施行規則第60条[19]、および法務省[20]により、子の名に使用できる常用漢字および人名用漢字の範囲を規定しているが、戸籍には氏名の読み方までは登録されないため、使用可能な漢字を用いる限り(名前が漢字である場合)、戸籍上の氏名をどのような読みにするかについての法的制限は基本的にない[21]

キラキラネーム - Wikipedia


キラキラネームは、戸籍法の法の抜け穴を利用した脱法行為なのである。別に害があるわけではないが、これを日本語文法で認めてしまうと何でもありになる。評論家の呉智英はこのような難読漢字語法に関して「暴走万葉仮名」と命名している。暴走万葉仮名が指しているのは「夜露死苦」とか「仏恥義理」みたいな暴走族がやっているアレの事である。


別に子供の名前に珍しい言葉が使われているのは最近に始まったことではない。例えば落語の「寿限無」ではそれを笑い話として取り上げている。兼好法師の「徒然草」や本居宣長の「玉勝間」にも似たような話が書かれているらしい。


ちなみに呉智英氏によると、暴走万葉仮名を名付けで使った場合は、その名前の暴走度の度合いによって子供の偏差値が下がる負の相関関係にある事を論じている。言語というのは柔軟なもので文法も時代時代で変わっていくものであるが、キラキラネームや暴走万葉仮名をその理屈で擁護することは出来ないだろう。別に昔から決まった古色蒼然とした言葉を使えというわけじゃなくて、空気を読めって言ってるんですよ。


例えば森鴎外の子どもたちの名前は茉莉(まり)、杏奴(あんぬ)、於莵(おっとー)、不律(ふりっつ)、類(るい)と、全部欧米の名前の当て字なんだが、キラキラネームではないだろう。小説家ってのは、物語の設定を作る場合は大概の場合は元になる故事を探してきて、それを下敷きにして自分のイメージを表現するものだ。思いつきで恣意的に言葉遊びをしているわけじゃない。基盤となる古典の知識があってこそのイメージのジャンプが出来る。詩羽楊(じばにゃん)とか光宙(ぴかちゅう)は下敷きになる情報はあるが思想が水たまりよりも浅い。これは暴走族が粋がってカッコイイ当て字だと思って作った「愛羅武勇」みたいな暴走万葉仮名と一緒である。


さて、思いつきで「ブログの日」を論じてみたが、思えば遠い所まで来てしまったものだ。ブログってのは曲がりなりにも言葉を使った表現なので言葉にはこだわらないといけないと思うのだが、サイバーエージェントさんはどうお考えなんでしょ? だからアメブロは嫌いなんだって結論に結びつけたいのだが、今日日、トップページでわざわざ仮想通貨のカテゴリを紹介するはてなブログも似たり寄ったりである。

プライバシーポリシー免責事項