超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


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映画「ラストマイル」を観てきた。

映画「ラストマイル」を観てきた。


日曜日であるね。今日は休日なので、家の掃除をして本棚を片付けて、その後、お昼は外食にして午後からは映画館で「ラストマイル」を観てきた。


last-mile-movie.jp


ラストマイルは前情報なしで観てきた。九月に上映されてる映画を確認しても、自分の好きそうな映画というのがあんまりない感じであり、その中でも社会派サスペンスっぽい感じのこの作品は比較的好きそうだと思ったので観てみた。


それほど期待はしてなかったんだけど、案外良かったね。「プロジェクトXプラス刑事ドラマ」という感じで、ロジスティックの現場で働く人達の人間模様と、その中で起きる連続爆破テロを止めるために活躍する主人公たちという感じで、カタルシスを感じる場面もあった。


この作品はTBSが主体となって制作してるらしいけど、なんか全体の展開が「踊る大捜査線」みたいな感じのノリであり、脇役キャラクターたちがそれぞれに個性的であり、「このキャラクターどっかの作品で居たような気がするな……?」というようなキャッチーなキャラ造形が沢山いる。


舞台背景としては間違いなくAmazonをモデルにしている。そういうグローバル企業の東京の物流倉庫でさまざまな事件が起きる。僕はIT業界で働いてる人間であるので、Amazonが実際にこんな感じで人を使い捨てにするブラックで非人道的な雇用をしてるという噂は聞いている。そういう実際の現場をみて脚本家はこういうシナリオを考えついたんだろうだろうなーと思う。


沖縄のような地方在住者からすると、舞台のいろんなところで出てくる東京の下町や、生活感のある中低所得の家族のアパートの光景がリアルな都会の生活を描写してるなーと思う。そこんところは明示的にシナリオでそうとは示されないんだけど、おそらくこの作品で示そうとしてるのは「貧富の格差」であり、我々が便利に通販で買い物をして、それが期日通りに届いたりするにはいろんな社会の貧しい層の人達が低賃金で働いてるおかげだよというのが描かれている。


「ラストマイル」というこのタイトルが指しているのは、物流業の中で、海外から飛行機や船便で物流倉庫に送られるまでは高度にシステム化されているけど、そこから実際にラスト1マイルを荷物を運んで届ける宅配便というのは、ダンピングによる低賃金労働がおこなわれる過酷な業界と知られている。


特に「2024年問題」として知られているが、2024年から配送業関係の労働改革が行われており、そのため2024年からは配送ドライバーの残業時間が制限されるようになり、多くの荷物が時間通りに届かずに遅延すると言われている。


losszero.jp


作中でも描かれているが、ラストマイルを配送する宅配業者は、低賃金の重労働で働かざるをえず、そのため高齢者や理由があってこの業界でしか働かないといけない人達によって支えられている。


一方で、ロジスティック企業のエグゼクティブ達は、ビデオ会議で英語を交えながら意識の高い会話をしていたり、おしゃれなジムでランニングをしながら仕事の話をしてたりなど、グローバル企業の成功者達はそんな下々のことなんかは気にせずに理想的な標語でビジネスをしてたりする。顧客の幸せを最重要に考えてビジネスをする事が、低賃金で働く低所得者層に支えられており、グローバル企業のエグゼクティブ達はそんな人たちは存在にすら気がついてない。


この作中で起きる連続爆破テロも、そういうブラックな労働環境や貧富の格差によって引き起こされており、この事件を解決しようという主人公達は中間管理職であり、上の理想論による押し付けに対して、実際の現場でギリギリの状態で働いてる人達をなんとかなだめすかしをしながら調整してる。まぁ、実際日本の労働の現場のリアルな実情が示されてるのだろう。


そういう骨太な社会派なテーマで作られている作品なんだけど、作品としてはものすごくコミカルで理解しやすい。前述したけど雰囲気やノリとしては「踊る大捜査線」を真似して作られてると思われ、メインテーマ以外にもさまざまなサブストーリーが同時並行的に発生しており、それが最終的に一つに収束していくような群像劇のようなストーリー展開になっている。


こういう種類のストーリーを指す用語がなんなのか分からないんだけど、ロジスティック業界とか警察業界の様々な人達が、それぞれの思惑で仕事人として働いていくのだけど、全体としてはわちゃわちゃした細かいストーリーの群れが、一つの謎を解決する感じで展開していくという作品なのである。僕も物語を作るタイプの人間であるけど、こんなシナリオを破綻させずに作るにはすごい労力が必要だろうなーと思う。


この作品は邦画であるけど、貧富の格差をテーマにした映画というのは近年の流行りであるし、それをビジネス小説っぽく展開させるとこんな感じだよなー、と僕は感じた。どことなく「下町ロケット」の池井戸潤のテイストを感じる作品であるけど、視聴感は爽やかであるし、気晴らしに観る作品としては最適だったかなと思う。

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