今日は自殺したいって言う人に向けたエントリーでございます。こういう事を大真面目に書くことを僕ができるのか?自分自身でも疑問だ。僕が本気で自殺する人を止める時にどんな言葉を掛けるだろうと考えたら、事態の深刻さへの恐怖で言葉が出せなくなるぐらいには臆病だ。また、無理やり言葉を紡いだとしても恐らく凄まじく陳腐な言葉になる。人間の命はそれぐらい重い。
他人のせいにするな!政治のせいにするな!!生きてることに感謝し、両親に感謝しないといけない。今やってることが嫌ならやめればいいから。成功に囚われるな!成長に囚われろ!!https://t.co/EHbPYpUI8e @YahooNewsTopics
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) 2017年5月30日
本田圭佑がこんなツイートをしていた。言おうとしていることは決して分からなくはない。だがこれは成功者の言葉だ。社会的に敗北した、今にも消えそうな命には伝わらないだろう。
僕も、自殺寸前まで何度も行って生き残った自殺サバイバーなんだよね。精神科クリニックの帰り道にホームセンターに寄って、首吊り用のロープを買って帰ってくる程度には病んでいた。それよりも怖いのは突発的な自殺念慮だ。急に死にたくなってノコギリを足に突き立てようとしたことがある。
自殺者の思考の中に他人が介入する余地があるのだろうか?死にたい人は他人のせいとか、政治のせいとか多分、考える暇はない。どうしようもなく追い詰められて、楽になるために死を選ぶだけだ。それに対して成功者が何かしらの意見を表明するのは自己満足以上の何かがあるのだろうか?
だから、このアプローチに対しても健全な人たちには意味があるかもしれないけど、メンヘラと呼ばれる人種には届かないだろうと思ったのだ。
hirokimochizuki.hatenablog.com
自己責任論とか、社会的なアプローチは確かに重要なのだけど、それを批判する言説も含めて全て、今すぐ死にたい人を救う言葉になるのだろうか?これを読んで満足するのは自殺者を観測する他人事の人々であって、実際に希死念慮に苦しんでいる人々ではない。まぁ、そういう言葉だという説明をされている訳ではないのでこれは難癖なんだろう。これは、違うベクトルの話なのだ。僕が求めているのは弱い人たちに寄り添う言葉なのだ。
もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。
— 鎌倉市図書館 (@kamakura_tosyok) 2015年8月26日
この言葉は直接的に学校で苦しんでいる生徒たちを救う言葉だったのではないかと思う。実際に弱ったものを目の前にした時に鼓舞する言葉や理屈なんて通用しないと思う。ただ、逃げ道だけを提示すれば良いのだ。たとえば学校に通う生徒であれば保健室登校とか別に悪ではないということを伝えることが大切なんじゃないかと思うんだ。
図書館というのは人生に行き詰ったときの逃げ場所としてとてもいい。下記の記事でこういうメールが紹介されていた。
「図書館という静かな空間は、ただぼんやり静かに座っているだけでも傷ついている人にはこれほど癒される場所はない。具体的に子どもたちを助けたりすることができなくても、風雨や暑さ、寒さから守られて、一日中そこにいても誰からも責められずに、ここにいてもいいんだよと、見守ってもらえる場所だったとしたら、大人にとっても、子供にとっても大きな救いです」
図書館はそこにいる人を外部から守ってくれる。ただそばで見守ってくれる。弱った人に対する立ち振舞い方としてはこれが一番理想的じゃないかと思う。
有川浩の図書館戦争で読んだ内容なんだけど、『図書館の自由に関する宣言』という言葉があるので引用する。
図書館の自由に関する宣言(抄)[1]
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
図書館は戦前に政府の圧力に屈して思想機関になった反省を踏まえて、利用者の秘密を守ることを宣言している。君が何の本を読もうが秘密は守られる。
想像力は自由だ。そして、読書はそれを支える力になる。死にたい人は図書館に逃げたまえ。空想は人生の苦痛の慰めになる。
僕は子供の頃、この本が好きだった。社会的には失敗しているだろうアル中の先生が学校から逃げ出した生徒を救う話だ。学校をサボって喫茶店で100%オレンジから絞ったジュースとピザトーストを奢るエピソードが良い。立場の違う二人が孤独を共有する物語だ。
もし君が死にたくなったのなら、世間体など気にせず逃げろ。そして誰かを頼りにしたらいい。それが親なのか教師なのかカウンセラーなのかは知らないが、君を助けてくれる人は必ず居る。ネット越しという制約上、僕は君にモニター越しの言葉でしか語りかけることができないが、僕は君に死んでもらいたくはない。少なくとも僕は、君に生きてもらいたい。だから君を殺そうとする現実からは逃げろ。経験者として言わせてもらうと、逃げたとしても道は続いている。一生続く苦しみはないんだ。
止まない雨はない。夜は夜明け前が一番暗い。オブラディ・オブラダと人生は続いていく。