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物語を作るのはそんなに難しいことではない。

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物語を書きたいと思ったことは無いだろうか? だけど小説を書くなんて一朝一夕にはできないし、自分の中にはそんなにしっかりとした物語はなく、書きたいシーンの断片だけがあるだけ。とても一つの作品にはまとめられないと考えている人も多いだろう。僕もそうだった。だが、自分の中の書きたいシーンをまとめあげて一つの作品にでっち上げるのはそんなに難しい事ではないのだ。類型を通じた物語の創作法を知っているだけで、プロットはすらすらと仕上がりそれでなおかつ、なかなかに味わい深い小説を書くことが出来る。今日は類型の創作論などを語っていこう。

 

物語工学論

物語工学論

 

 

上記の『物語工学論』では物語のタイプを、「さまよえる跛行者」「塔の中の姫君」「二つの顔をもつ男」「武装戦闘美女」「時空を超える恋人たち」「あぶない賢者」「創造主を滅ぼすもの」の7つに分類する。これは適当に作られたものではなく、神話や民話などから採取してきた物語の類型なのだ。

 

「さまよえる跛行者」はギルガメッシュオイディプス王ヘラクレスアーサー王など、なにかを失いそれを追い求めて旅をする物語の類型である。失われた何かは身体的な欠損として表される。例えば隻眼、四肢欠損、感情の過剰。何かの原因で故郷を追い出された主人公などもこれにあたる。貴種流離譚などはまさにこの類型に当てはまるだろう。

 

「塔の中の姫君」はアマテラス、白雪姫、ラプンツェルなど何かに拘束されているものがそれから解き放たれるまでの物語である。「さまよえる跛行者」とはネガポジの関係にあり、跛行者が何かを求めて旅をする者であれば、塔の中の姫君はなにかを持ち続けて、待って開放されるまでの時間軸が語られる。

 

「二つの顔を持つ男」はジキルとハイド、バットマン、怪傑ゾロなど、正義と法秩序の中で揺れる人間性を描写する物語になる。これは日常と非日常を行き来する主人公を元にストーリーを転がすやり方で仮面ライダーなどに利用されている。

 

長くなるから全部紹介するのは止めておこう。物語の類型を知りたい人なら読んでおいて損はないはずである。入門編と銘打たれてはいるが、類型を通じた創作論を知っている人じゃないとすんなりと理解できる入門書ではないだろう。今回は簡単に「さまよえる跛行者」を通じて、行きて帰りし物語の説明などをしておこう。

 

よく昔話や神話などには何かを求めて旅をする主人公が現れる。指輪物語のフロドは世界を滅ぼす力を持つ指輪を滅ぼすために旅をする。桃太郎は人々を困らせる鬼を退治するために鬼ヶ島を目指す。ヤマトタケルは兄を殺し父に追われ、九州の征伐のために旅をする。共通するのは旅を通じて何かを得ようとすることだ。

 

彼らの旅で、クライマックスシーンでは「向こう側」に突き抜けて何かが変わって元の世界に戻ってくる。フロドは滅びの山で誘惑に負けてしまうが、それでも指輪を滅ぼし日常に戻ってきて村人たちの生活を見守る。桃太郎は鬼が島という異境に乗り込んでゆき、鬼を退治して宝物を得ておじいさんとおばあさんの所に戻ってきて幸せに暮す。ヤマトタケル熊襲征伐の際に女装して殺し、タケルの名前を得る。

 

この物語類型にある形は、何かを得ようとする主人公が旅をして「向こう側」に行き力を得て戻ってくるという決まった形だ。この行きて帰りし物語の類型を創作で書くために使いやすくまとめたチェックシートが大塚英志の『ストーリーメーカー』にあるので掲載しておこう。

  1. 日常の世界
  2. 冒険への誘い
  3. 冒険への拒絶
  4. 賢者との出会い
  5. 第一関門突破
  6. 試練・仲間・敵対者
  7. 最も危険な場所への接近
  8. 最大の試練
  9. 報酬
  10. 帰路
  11. 復活
  12. 宝を持って帰還


大塚英志 ストーリーメーカーより


この物語の類型を頭に入れておくと、パーツを組み合わせるように物語を構築することができる。単純なゆきて帰りし物語の類型だけでも覚えておけば色々とバリエーションを作ることができる。ファンタジーでの主人公のビルティングストーリーだけではなく、現代の恋愛小説でも彼女の愛を手に入れるために色々と試みて最も危険な場所(「向こう側」)を経て人間的に成長した主人公が彼女を手に入れて日常に戻っていくなど、シチュエーションは自在だ。

 

この物語の類型で創作する技法はライトノベルなどのエンタメ小説では有効かもしれないが、純文学では底が浅いといって嫌われる傾向がある。純文学ではひたすらに自分の内面を掘り下げて人間の本性などを描写してゆくことで人間を描き出す事が重視される。だが、類型で創作する技法を持っていたらさまざまな作品から換骨奪胎して応用することも可能だろう。また、物語の類型は行きて帰りし物語だけではない、冒頭で紹介した「物語工学論」の中にあるように色んなパターンがある。いわゆる王道と呼ばれる物語のパターンだ、得意なパターンを持っていたら物語をスラスラと作ることができるだろう。

 

 

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