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「空気を読む人 読まない人 人格系と発達系のはなし」(老松克博著)を読んだ。

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「空気を読む人 読まない人 人格系と発達系のはなし」(老松克博著)を読んだ。


最近、ポッドキャスト講談社現代新書の紹介を行ってる番組を聞いてるんですよ。そこで面白そうな本を見つけたので、読んでみた。今回読んだのは「空気を読む人 読まない人 人格系と発達系のはなし」(老松克博著)という新書だ。



この本の中では人間の性格の分類を「人格系」と「発達系」という二種類で分類する。「人格系」というのは、周りの色んな人の空気を読みまくり、場の雰囲気を崩さないように気を使いまくる人だ。この特徴が行き過ぎてしまうと、人格障害のような症状が発生して治療が必要なパターンもある。反対に「発達系」というのは、まったく空気を読まず、自分のマイルールをしっかりと守ることだけにこだわり、自己中心的とも思えるような行動を取ってしまう性格特性である。こちらの性格特性が強すぎると発達障害として診断されて治療が必要なパターンもある。


この老松氏はユング心理学系の精神科医らしくて、この「人格系」と「発達系」のタイプ分類というのは、ユング心理学の外向型・内向型のタイプ論から取ってきたのかなー?と思ったのだけど、そういう訳じゃなくて、臨床現場でいろいろな患者を見ているうちに、人間の性格というのはこの「人格系」と「発達系」のスペクトラムで存在しているのだなと発見したみたいですね。


まぁ、なんとなくこの「人格系」と「発達系」での分類というのは、自分の今までの人生経験の中で出会ってきた人とかを思い出しても、わりかし信憑性が高い分類ではないかな?と思いますね。このブログの熱心な読者諸氏ならとっくにご存知であろうかと思うが、僕自身は、かなりの強度の「発達系」である。基本的に他人からどう思われようが自分がやりたいことが最優先だし、口先だけのおためごかしとかが大嫌いなタイプである。これはブログだけじゃなくて、リアルの方でもわりかしこれが素の性格であるし、診断はされてないけど発達障害スペクトラムはかなり強そうである。


でも、この老松氏のタイプ分類によると、「人格系」と「発達系」はどちらか一方だけが100%の性格というのはなくて、かならず両方の特性の濃淡でその人の性格は形作られているのだという。これもわかり味が深い。僕は「発達系」ではあるものの、仕事の上とかで自分の興味の赴くままに突っ走ってかなり痛い目を見まくってきたので、コミュニケーションのやり方なども後天的に覚えている。大学生・新社会人のころは自分が興味のあること以外は全くシカトするような性格であったと思うけど、ちょっと社会経験を積んだ後は周りの人とコミュニケーションも取れるようになってるし、交渉事などもできるようになっている。自分より激しい「発達系」を見て、「ありゃーいかんなーいつか痛い目見るなー」と分かるぐらいまでは人間的に成熟してるかと思う。


ちなみに、この「人格系」と「発達系」はどうしてもお互い反目しあうような性質になってるらしいです。人格系はどうしても空気を読まずに好き勝手しまくる発達系が嫌いだし、そこで排斥などされて発達系も人格系を嫌うような流れとかが生まれやすいらしいです。


ちなみに僕がこの本で面白いと思ったのは、老松氏はそれぞれのタイプにとって成長に必要な要素というのも、反対側のタイプが持っている。人格的に成長するためには自分の中の隠された反対側の特性の無意識と対話することを勧めてます。


こりゃ、ユング心理学で言う所の「シャドウ」の考え方ですな。なんか、自分の嫌いな部分とかを嫌いな相手に投影して、それで戦ったり逃げたりすることがあるらしいのです。ユング心理学でもこのシャドウとの対決は人生の中でも大きな課題になるケースもあるんですけど、「人格系」と「発達系」の2分類のタイプ分類でも、自分のなかにある反対側の特性の気持ちを理解することが成長につながるらしいです。


このシャドウとの対話で勧められてるのが、「能動的想像法」なんだけど、これ、多分むちゃくちゃ難しいです。僕も大学での専攻は心理カウンセリングだったので、色々とユング派の精神分析とかも独学とかしてて、河合隼雄氏がシュピーゲルマンという人だったかな?の翻訳で出した本を読んでたことがあります。



これを読んでみて、面白そう!と思って僕も能動的想像法を実際に試してみたんだけど、まー普通の人なら相手が全く現れなかったりとか、無理やり相手を出しても対話がわざとらしくて無意識へ深まらないもんなんですね。よっぽど病的に無意識の力が強くなってるか、人格的に熟成して無意識に近づくことができてる人じゃないとちゃんとシャドウを描き出すまではできないですよ。物語を作ることを通じて無意識を探るようなアプローチなので興味はあるんですけど、実践は難しいやつです。


最近、僕も大きな出来事があって無意識が暴走しているっぽくて、夜は睡眠薬を飲まずに寝ると夢に叩き起こされたりする状態なので、今、無意識を探るのはそれほど得策じゃないかもしれない。ちょっとさ、マインドフルネス瞑想の「感謝の瞑想」ってやつをやってみたんだけど、子供の頃の嫌な思い出とかでてきてしばらく気分が悪くなっていた。なんか、随分とストレスが無意識に負荷を掛けちゃってる状況っぽいから、カウンセリングが必要かなーと思って最近カウンセリングも受け始めたんですよ。能動的想像法も、カウンセラーに聞いてみて、アプローチとしてありなら試してみますかね。



最近のユング心理学がどんなアプローチをするのか知れて面白かったです。おすすめです。

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