超メモ帳(Web式)@復活

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「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(樋口耕太郎著)を読了した。

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「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(樋口耕太郎著)を読了した。


今日は山の日で祝日だった。日曜日の代わりにnoteを書いて公開した。こちらの方も興味がある方は読んでみてください。ついでにnoteのアカウントがある人はスキとかフォローをしていただけると、僕が喜びます。


note.com


とりあえず、今回はメモの取り方についてtipsを書いた。noteは毎週日曜日更新しようと考えているけど、知的生産関係のネタを書こうと思ってもネタ集めをしていないとしんどいね。最近は読書猿さんの問題解決大全とか読み終わったので、次はアイディア大全を読む予定だけど、アウトプットに対してインプットの速度が間に合っていない。ブログで書いた知的生産関係のあれやこれをまとめて焼き直ししてnoteでまとめようかな。これは自分のための思考の整理でもあるしな。


今日は「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(樋口耕太郎著)を読了した。沖縄タイムスでこの樋口さんがコラムを連載していたらしくて、そこで書かれている内容を書籍として、なぜ沖縄が未だに貧困率で全国ワーストクラスなのか? そしてどうしたらこの貧困を抜け出せるのか分析した本であった。


僕も沖縄県民なんですけど、就職の為に岡山と東京の方で生活していたこともある。東京なんかに住んでいると、物価の高さにビビるけど、沖縄もスーパーなどで売られている食材の物価などはそれほど安い訳でもない。沖縄県民の体感としては、沖縄は物価は内地とそんなに変わらないのだけど、給料が異様に安い。沖縄の最低賃金は790円で、全国最安値である。


後、沖縄はザル経済と言われていて、国政で補助金を入れてインフラ工事なんかが多かったりするんだけど、内地のゼネコン業者が補助金目当てで中抜きして、沖縄県補助金の額は全国トップクラスなのだけど、ほとんど沖縄には残らずに内地の業者が持っていくようになっている。


また、沖縄は出生率がトップクラスなんだけど、そのためこういう事態も発生している。

沖縄ではシングルマザー世帯出現率が全国平均の約2倍ある。
若年の結婚は離婚率も高いから、沖縄のシングルマザーは概して若い。早すぎる出産は、若い親たちから高等教育の機会を奪い、生涯賃金を大幅に引き下げ、貧困を子どもの世代に引き継がせることになる。若い母親の子どももまた、若くして母親になる可能性が高く、多産だ。
シングルマザーの大半は、所得が日本一低い沖縄で非正規雇用者として働くことになり、多くの子どもを引き連れて貧困に陥りやすくなる。沖縄県の子どもの貧困率は全国平均の約2倍、子どもの約3割が「貧困状態」で、特に一人親世帯の子どもの貧困率は58.9%に達している。

樋口 耕太郎. 沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書) (Kindle の位置No.626-632). 光文社. Kindle 版.


これも沖縄が最低賃金が安い理由なんですけど、マイルドヤンキー気質が島中に行き渡ってる感じで、県民性として勉強できる子をバカにする気質がある感じなんですね。コミュニティの中で最強なのはヤンキーで、ホワイトカラー職種よりもブルーカラー職種の方が圧倒的に多いんですよ。マイヤンだから若くして結婚して子供を産みまくるし、離婚率も高い。シングルマザーの若い母親たちは手っ取り早く稼ぐために水商売や働きやすいコールセンターで働く。それゆえに非正規ばっかりで平均賃金も上がらないんです。


また、樋口さんは沖縄県民の同調圧力の強さについて分析している。

沖縄社会は、現状維持が鉄則で、同調圧力が強く、出る杭の存在を許さない。

樋口 耕太郎. 沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書) (Kindle の位置No.810). 光文社. Kindle 版.


沖縄県民は保守的で村社会なのだという、確かにそうなのだが沖縄のショッピングモール「サンエー」は沖縄県内だけで抜群の収益率を誇る。同様の業種のイオングループも沖縄に入ってきているのだが、サンエーの方が沖縄県内の業績では13倍ほどの差があるのだという。沖縄県民は強い身内びいきというか、買い物するときも知り合いの居る店を必ず選ぶ。これゆえに資本主義の合理性で内地から小売業などで優秀な企業が入ってきても、沖縄の地元の企業の強さに敵わずに撤収する事が多い。しかし、これは沖縄県内だけの強さで、沖縄では最強のサンエーであっても内地には進出する事ができない。

沖縄の経営者は、イノベーションも不要、新規事業も不要、マーケティングも不要、人材登用も不要、多額の人件費も不要、人材育成も不要で、潤沢な利益を享受する立場にいる。
沖縄企業は非正規を多く雇用し、人材育成に熱心とは言えず、離職率が高い。現状維持の原則が優先だから、有能な社員に活躍の場を提供できないし、する意味もない。そして何よりも、従業員が成長を望まない。
つまり、人を育てることに経営的な合理性が存在しないのだ。

樋口 耕太郎. 沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書) (Kindle の位置No.1323-1328). 光文社. Kindle 版.

沖縄の貧困が(沖縄の低所得者が)沖縄企業を強固に支えているのだ。極端に言えば、沖縄の社会構造の中では、(悪意なく)変化を止め、(無意識のうちに)足を引っ張り、個性を殺し、成長を避けることが「経済合理的」だったのだ。
沖縄社会が貧困なのは、貧困であることに(経済)合理性が存在するからだ。
これが、「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」である。

樋口 耕太郎. 沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書) (Kindle の位置No.1361-1365). 光文社. Kindle 版.


沖縄県民は保守的で強固な村社会であるため、貧困に経済的合理性があるからもとより県民に貧困をなくすつもりが無いというのが結論の様である。


本書でも分析されているけど、この村社会が今後、維持できないだろうなというのは今でも兆候が出ている。原因はSNSなどで、情報が自由に流通しているので、若者がこういう非合理な社会に気が付き始めているという事だろう。こういうのはファスト風土化といって、全国一律で東京郊外の様な均質的な文化になっていくという事だけど、構造的貧困は無くなるかもしれない。重要なのは教育なんじゃないか?と僕は思うのだけど、どういう方法で構造的貧困を改革する教育をするのか?みたいな事は思いつかない。この本でも構造的貧困を改革するのは愛のある経営とかそんな感じの抽象的な話で終わってるので、具体的な方法を提言ができるまでちゃんと分析して欲しかった。


後は軍基地関係で色々と書かれているんだけど、この辺りはあんまり気に食わないので細かくは書かない。沖縄県民が軍基地が嫌いなのは実際に戦争で親族を殺された感情的な物なので、そこを合理性で割り切るのは冷淡すぎるだろう。これを書いている人は内地の人みたいだけど、実際に身内を殺した米軍に故郷を蹂躙される痛みみたいのは分からんだろうなーと思う。実際、僕は沖国大のキャンパスで目の前にヘリを落とされた訳で、この本で説明されてるみたいに合理的には辺野古反対の運動が矛盾だらけというのは分かるけど、そこんところの県民感情をくみ取れない政治家なら投票はしないかな。


とりあえず、沖縄の書店で今、人気の本なので読んでみた。kindle本もあります。


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