超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


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「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(アンディ・ウィアー著)を読んだ。

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(アンディ・ウィアー著)を読んだ。


僕はいつも通勤時にAudibleで読書をするようにしている。このAudibleというのは、Amazonが出してるオーディオブックを読み放題できるwebサービスなのだけど、自己啓発本のような本から小説やらライトノベルまで色々と出されておりなかなかに使えるサービスなのである。


僕はオーディオブックでは小説を読んでる事が多い。Audibeの特徴の1つとして、本を朗読している声優さんとかが割と豪華なのである。芸能人が本の朗読をしてたりする事があり、普通に文字の本を読むよりも経験としてリッチな感じなのである。


長距離移動が多いアメリカではオーディオブックを多用するというのは、僕はスティーブン・キング文章読本で知った。キングも本を読むときはオーディオブックを使うことが多いらしく、物語を創作するものというのはとにかくたくさんの他の人の作品を読むべきだと述べているのだけど、その読書にはオーディオブックを使ってるとのことだ。


僕はキングの話を聞いた後から、アニメでも小説でもいろんな種類の物語コンテンツを摂取しようと努めている。その中で自分の創作でも使える概念を色々と勉強するためにもオーディオブックを聴いてるのである。僕がオーディオブックを聴くのは単純に娯楽という面も強いけどね。小説のオーディオブックというのはそれで書籍の小説とは違う部類のコンテンツであり、経験としておもしろいものである。


今日、2か月ぐらいかけて1つのオーディオブックを読了した。なかなか良かったので今回のブログのエントリーではその作品の感想文でも書こうと思ってる。小説のネタバレを喰らうのが嫌な人というのもいるだろうから長々と前置きを書いてる感じである。今回読んだのは、アンディ・ウィアーの「プロジェクトヘイルメアリー」であるけど、読んでないけどネタバレを聞きたくないという人はここで引き返してください。


ちなみにこのプロジェクトヘイルメアリーについてはオーディオブックで聞いた方が圧倒的に楽しめると思う。エリリアンのロッキーとの会話で、最初のあたりはエリリアン語のメロディーのみの表現があるのだけど、こちらは文字で表現しても意味不明なものであろう。音声だと実際に何か楽器のようなメロディーのエリリアン語を聴く事ができる。


こちらのプロジェクトヘイルメアリーなのだけど、地球を救うために恒星間宇宙旅行をしているときに異星人と出会って協力して2つの惑星を救うという話である。


概要だけ聞くと「SFかー……、SFって話が重たくて読み進めるのが辛いんだよね」と思うかもしれないけど、ヘイルメアリーについては全編で重たくなる展開が少なく、主人公のグレース博士と異星人のロッキーのほんわかする異文化コミュニケーションというのがメインである。


どうも僕はSFというと「三体」のようなハードな展開のやつの印象が強く、異星人の侵略のせいで人類全体が滅んでしまったりディストピアが形成されるような物語展開を想像してしまう。しかしヘイルメアリーに関してはエリリアンという異星人が出てくるのだけどこの異星人がフレンドリーであり、裏切ったり戦ったりするような展開がまったくない。むしろ、地球人とエリリアンは協力し合いながら宇宙の僻地でお互いに滅びそうになってる惑星の災害を解決するための冒険や実験に取り組む。


だが、ほんわかする物語展開とは裏腹に、恒星間宇宙旅行に関する科学的考察がなかなかに興味深い設定を作り上げている。ある時、地球では金星と太陽の間に謎の光の帯のようなものが発生しているのを観測する。これは「アストロファージ」と呼ばれる宇宙を光速で移動する単細胞生物により発生しており、このアストロファージの大繁殖により太陽のエネルギーが吸い尽くされそうになってしまう。


このアストロファージが色々と奇妙な性質を持っており、高温でも低温でも常に94度の温度を保持しており、太陽でエネルギーを吸収したら光速で金星に移動して二酸化炭素を吸収して繁殖する。細胞内には中性子などでエネルギーを蓄積しており、膨大な光エネルギーを放出する。あと、放射線を吸収して通さないので宇宙線からの防護壁にも使える。


地球はこのアストロファージが太陽のエネルギーを吸い尽くすことで氷河期になりそうになり、そのため主人公は恒星間宇宙旅行に出る羽目になるのだけど、その宇宙船のエンジンの燃料もアストロファージなのである。また生命維持装置などのエネルギー源もアストロファージであり、物語の序盤はどのようにして地球を救う希望の宇宙船「ヘイルメアリー」を建設するかのお話になる。


この物語でおもしろいのはやっぱり異星人エリリアンのロッキーの性格である。素直で真面目で頑張り屋のエンジニア。エリリアンというのは地球の生物では蜘蛛に似ており、5本足のかぎ爪で常に機械をいじっている。そして万能の物質、「キセノナイト」でさまざまな道具を開発することで危機を脱していくのだ。


とにかく「プロジェクトヘイルメアリー」に関しては、全編でポジティブな感じで物語が進んでいき、異星人との遭遇とか恒星間宇宙旅行のような堅苦しい設定であるのにほんわかとしたお話なのである。これは作者であるウィアーの性格が表れてるようで微笑ましかった。おもしろい物語だったよ。



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