超メモ帳(Web式)@復活

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夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んだ。

夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んだ。

行き返りの車の中で漱石を読んでいる。


ちょっとaudibleで夏目漱石著の「吾輩は猫である」をずっと聞きながら通勤してたのさ。こちらのオーディオブックだ。


夏目漱石名作集

夏目漱石名作集

  • 作者:夏目 漱石
  • 発売日: 2020/12/22
  • メディア: Audible版


漱石の名作集を全部読んでみたいと思った。今回はaudibleでオーディオブックを買ったけど、漱石の作品を読むだけならば青空文庫で全部無料で読める。


www.aozora.gr.jp


このオーディオブックは良いと思う。猫を読んでみているけど、まるで古典落語のようにスラスラと調子を合わせて読み上げる。漱石の文章は現代ではいささか晦渋な所もあるのだけど、オーディオブックならは耳でスムーズに読み進む事ができた。


漱石は、僕が小説を書く時に最も強く影響を受けた人であると思う。いや、お前程度が漱石かよと言うかもしれないけど、僕は実際、漱石の「夢十夜」を全部大学ノートに書き写してみたりなどして文体の研究をしたのですね。あの緻密で実写的な心理描写を真似できたらどんなに素晴らしいことだろうなと思いつつ、全然敵わないやと思いながら、必死になりながら漱石の文章を筆写していた。


漱石は建築家になろうとしていたらしい。

漱石はなあ、組織に馴染めんやつ、時代遅れ、アスペ……その他もろもろの「はみだし者」の心のよりどころになる文章を山のように生み出したんや。それだけでなく、「なんでそうなるのか」「どうしたらええんか」について、誰よりも早く考え、真面目に悩み、胃潰瘍で血を吐くほど苦しんで苦しみ抜いて書き続けて死んだんや。すごい人なんやで。

そもそもな。文学というのは、「形のないものに形を与える」営為なんや。こいつのおかげで、人の抱える人生への悩み、生きづらさみたいなもんに少しだけ形を与えることができて、それは心理学的に言えばめちゃめちゃ大きい社会的な「癒やし」効果になるんや。漱石がやったのはそういうことになる。端から見れば、ただ「小説を書いてた」だけやろな。漱石がもともと建築家になるつもりやったって知っとるか。けどなあ、友達に止められたんや。「夏目くん!残念ながら日本はまだまだ二等国や。君が思うヨオロッパみたいな建築ができるまで、まだまだ100年はかかるな。建築はまだ早い」てな。「それよりな。夏目くん。文学や。文学で、人の心に千年残る巨大建築を打ち建てたまえ(ニヤリ)」夏「ガーーーーン!」…………てなもんや。単純やな。でも、ほんまにそれだけのことをしよったんやこいつ。すごいやつやで。

漱石はなあ、組織に馴染めんやつ、時代遅れ、アスペ……その他もろもろの..


実際、漱石の作品を読んでみると、大層メンヘラな考え方を書きぬこうとしているというか、生きるとはなにか?みたいな事を真剣に悩んでいる事が分かる。


僕はアホくさいと考えつつも、たまに生き方が分からなくなることがある。元々性格が強度のアスペというか、お世辞をいったりだとか調子を合わせたりとかいう心の使いかたは後天的に苦労して覚えた所がある。漱石の小説の中で、社会と噛み合わずに苦しんで生きている人たちは、自分の心象と似た様な事を考えてるなーと思うことがあるのである。

漱石が書こうとしていたのは人間関係の機微


吾輩が人間観察をして評する事を読んでいると、人間は細々としてつまらない事に囚われているのだろうなと気が付かされるのである。吾輩の考え方自体も、作者である漱石の考え方を反映しているのだと思うけど、人間が関係性の中で囚われた所とは別の猫の視点で人間関係を見ることができる。


いろいろと苦沙弥先生の家で起こる珍騒動を、愉快に冗談交じりで書いているのだけど、クライマックスに至ると、人間とはなんと下らないものなのだと漱石のペシミズムな考えを登場人物達が開示して、そういう空気も、乱入してきた多々良三平くんの俗な行動でぜんぶ一蹴されて、結局、吾輩も水壺に落ちて溺れ死んでしまう。


このクライマックスで描きたかったのはなんだろうと思う。人間が複雑だと思って悩んでる自意識も、傍から見たらちっぽけで下らない事だと漱石は結論づけたかったのかもしれない。最後には登場人物たちを高みから見下ろして批評していた吾輩も、俗世界に在るのが嫌になってしまってビールを飲んで酔っぱらい、念仏を唱えながら「ありがたや、ありがたや」と水に沈んでいく。


それにしたって、猫の死ぬ作品は嫌だ。猫とはわがままだけど、非常に繊細で細やかな生き物だという事は分かる。だからこそ吾輩の死ぬシーンはなんか悲しくてやるせなくなってしまう。

まとめ


しかしながら、僕が作品中で一番共感を覚えている人物は実業家の鈴木くんなのである。



ちゃんと苦沙弥先生と金田一家の橋渡しをして、頑固な苦沙弥先生の頑なな心を解きほぐすような言葉を語り、問題をトラブルシュートしようとするのが鈴木くんである。このようにトラブルの問題解決をできるような大人になりたいなと僕は思っていたりする。実際まぁ、苦沙弥先生とその仲間たちは揉め事の存在をどうにも出来なかったに関わらず、鈴木くんは理想的な解決策を提示はしたのだ。僕のシステム屋としての仕事も、そういうめんどくさいトラブルを抱えているクライエントにソリューションで解決策を提示するような所がある。


どうも、いまいち自分は文学的ではないなと思ったのでした。

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