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「三体Ⅱ 黒暗森林」を読了した。(ネタバレあり)

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「三体Ⅱ 黒暗森林」を読了した。(ネタバレあり)


今日、「三体Ⅱ 黒暗森林」を読了した。今回はaudibleのオーディオブックで読んだ。この作品に関しては普通の本よりもオーディオブックの方が分かりやすいかもしれん。人名とかが書籍の方だと中国語読みの難解な漢字が使われていたりするので、人物相関が複雑な作品なので読み通すのが大変だと思うからだ。オーディオブックだと、その点は声色の使い分けなどで人名などで悩む事は無くなる。というか、僕は最近はほとんど読書に関しては、kindleの読み上げなどを使って耳で聞くことの方が多い。多少、時間は掛かるかもしれないけど、車を運転しながら読書をすることができるからだ。毎日2時間は車を運転しているので、その時間を読書時間に充てている。


とりあえず、オーディオブックにしても上下巻で13時間×2ぐらいの大ボリュームなので、ひと月ぐらいずっと三体Ⅱを聞いていた。今回のエントリーでは読み終わったので感想を書こうかと思う。


注意しておくけど、僕はネタバレ感想を書こうかと思う。まだ未読でネタバレをしたくない人は、今回のエントリーは読むのをやめておいた方が良いだろう。適当に行間を開けておくので、その間にページ離脱してください。













おっけーね? じゃあ、感想を書きます。


今回の主人公は羅輯(ルオ・ジィ)という人物。この人はなぜか地球文明の救世主であるウォールフェイサーに選ばれてしまうんだけど、意志薄弱だけど女好きでウォールフェイサーの地位を利用して贅沢な生活を満喫してしまうというトンデモない人物。しかしながら、この作品の副題でもある宇宙文明の「黒暗森林」という法則を見つけてしまう。


今回の作品では、前作と違って三体文明側の事情などは語られずに、地球文明側が圧倒的な科学技術の差がある三体文明の侵略にどうやって対処するのか?という防戦の様子が語られる。前作で三体文明側から光速を超える量子もつれで送られてきた素粒子大のスーパーコンピュータ、智子(ソフォン)のために、粒子加速器などを破壊されて地球文明の基礎物理学の進歩が止まってしまっている。さらに、智子のために地球文明の戦略というのは全て三体文明側に筒抜けであり、圧倒的技術力の差もあり地球文明側に勝ち目はなかった。


しかし、三体文明には重大な弱点があって、三体人は電波で思考を直接伝えるコミュニケーションの故に、嘘をつくことが出来ない。例えば相手を不意打ちしようとするときも、尋ねられたら相手にすべてを伝えてしまうような裏表のない子供のようなコミュニケーションしかできないのである。なので、地球文明は、三体文明を欺いて三体艦隊を撃滅する作戦を立てる、ウォールフェイサープロジェクトを遂行する。


ウォールフェイサーには4人の人物が選出される。これらの人物は、それぞれの思惑で三体艦隊に反撃するための作戦を考え始める。しかし、その一人、羅輯は一人だけ何もせずウォールフェイサーの地位を利用して豪奢な暮らしを満喫する。


そんな彼を見限った妻を失った悲しみの中で、羅輯はひたすら瞑想を続けるのだけど、その結果、宇宙に太陽を通じて呪文を送る。


この羅輯の送った呪文なのだけど、宇宙には地球文明と三体文明以外にも無数の文明が生息しており、宇宙での文明間の生存戦略というのは相手を見つけ次第すぐに殲滅するのが基本であり、事実、羅輯が強力な電波で宇宙空間に放った偽装した文明の位置の情報で50光年先の恒星系が破壊されてしまう。羅輯は前作の地球三体協会の会長、葉文潔との会話で、宇宙社会学を考案して、宇宙文明の基本ルール「黒暗森林」を発見する。


この黒暗森林の法則を使えば、羅輯は三体文明を葬る事もできるのだけれど、三体文明から送られてきた偵察艦「水滴」により、太陽を利用して宇宙文明に電波を送る方法を封じられてしまう。それでも、地球文明に救世主として祭り上げられた羅輯であるが、何もすることが出来ず結局最終的には全ての人類から蔑まれる人物として扱われる事になる。


しかし、それも羅輯の作戦であり、結局、自分の命を張った賭けで、地球文明と三体文明は和解してしまう。羅輯は冬眠から目覚めた妻と娘と幸せに暮らす。


まぁ、ネタバレ概要を全部知りたいのならwikipediaでも読んだ方が早いだろう。


ja.wikipedia.org


では、まとめとして短く感想を。


SF作品ではあるけど、文章表現が美しいと感じました。これは翻訳が相当に上手なのかもしれません。人物の一人ひとりが魅力的に描かれており、前作からの登場人物
大史(ダーシー)と羅輯のバディーものとして読むことが出来る。


僕は、羅輯が妻と出会うまでの展開の、創作によって創造の恋人を作り出すプロセスというのが、面白いなーと思いました。これは実際に作者の劉慈欣の創作方法について書いてあるんだと思うんですよ。また、この作品全体に流れる雰囲気というのが、中国の古典作品とかであるような数種類のパターンを並べてバリュエーションを出すような感じの展開にするなど、中国の文化かなーみたいに感じるところもありました。


兎に角、この作品はエンターテインメントとしてのレベルが高いと思います。SFだけど複雑な科学的知識が求められるほど複雑という訳でなく、物語としての面白さが素晴らしいと思います。読んでみて最後、三体人と地球人が和解してしまうあたりは結構感動もしました。


まぁ、前作の「三体」から読まないといろんなルールが分からなかったりするので、そちらから読むと良いでしょう。


三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)


三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

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