今日は昨日、古賀史健さんの『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を読んだのでその内容を自分向けにまとめておこうと思う。
- 作者: 古賀史健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/26
- メディア: 新書
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まず、良い文章というのはなんだろうか? 美しい描写。美文調の難解な文章はそれではない。良い文章というのは伝わる文章なのだ。筆者が意図した考えが過不足無く読者に伝わる文章が良い文章なのだ。古賀さんは次のように述べている。
ぼくは「美しい文章」など、目指すべきではないと思っている。
いや、余裕があれば美しくてもけっこうだが、美しさよりも先に「正しさ」がくるべきだと思っている。「美文」という言葉に対比させるなら「正しい文=正文」だ。
なぜ、美しさが不要なのか?
ひとつに、文章本来の目的が「伝えること」だからである。いくら美しい声を持っていても、発音が不正確なら会話は成立しない。聞き苦しいダミ声であっても、発音が正確なら会話は成立する。情報を伝えるために必要なのは、美しさではなく正しさである。p74
僕はこのことについては文章を書くことは誰かの心を揺らす文章をかければいいと思っていて、必ずしも多くの人を刺激する必要はないと考えている。このような文章読本を読んだりするのもできるだけ省力化したテクニックでより心の深い所を探った文章を書くことが出来ないか?という企みのもとからのものである。古賀さんも文章を書くのは考えるためだと言っている。書くことは思考の拡張につながるのだ。
”書く技術”を身につけることは、そのまま”考える技術”を身につけることにつながるからである。
仕事や人生で困難にぶつかったとき、どんなに頭を抱えて考え込んでも、堂々巡りをするばかりでまともな答えは出てこない。
ところが、悩みを文章に書き起こしていくと、意外な答えが見つかる。
詳しくは講義に譲るが”書く”という行為のなかには、論理性の確立や思考の整理など、さまざまな要素が潜んでいる。”書く”というアウトプットの作業は、思考のメソッドでもあるのだ。《中略》
”書く技術”が身につけばものの見方が変わる。物事の考え方が変わる。そしてきっと、世界を見る目も変わってくる。
p16-17
文章というのは思考の流れをそのまま示したものなのだ。それを読めばどのように考えてきたのかがわかる。筆者の思考を読者に伝えるためにはさまざまなテクニックがある。古賀さんは良い文章を書くために論理構造を打ち立てろと主張する。
「論理的な文章」の3層構造
①主張……その文章を通じて訴えたい主張
②理由……主張を訴える理由
③事実……理由を補強する客観的事実・文章のなかに”主張””理由””事実”の3つがあるか、そしてその3つはしっかり連動しているかを、いつも意識する。
p154
その文章で主張したいことをまず書き、そしてその主張の理由を述べる、そして理由を客観的事実で補強していく。良い論理構造を持った文章というのはそのような構造になっているのだ。このパターンは頭に叩き込んでおきたい。
誰のために書くのか?というのは文章書きならば誰でも持つ悩みだ。文章をPVやアフィリエイトの額のために書けるならば楽なのだが、それはモチベーションとして弱い。強い文章を書くためにはモチベーションをどこかに置かねばならないのだ。その文章を誰に向けて書くのかは古賀さんは10年前の自分だと書いている。ドストエフスキーの古典を読んだ経験を受けて次のように述べている。
人間は、どんな時代も同じこと(普遍的なこと)を考え、同じことに悩み、同じことで苦しんでいる。自分だけにしかわからない、誰にも理解されないと思われる根深い問題こそ、じつは普遍性を持った悩みなのだ。
大事なのはここからである。
なぜ、あなたは10年前の自分に向けて書くべきなのか?
いま、この瞬間にも日本のどこかに「10年前のあなた」がいるからだ。
10年前のあなたと同じ問題を抱え、同じ景色を見て、同じようにもがき苦しんでいる人は、必ずいる。勉強、受験、友達関係、恋愛、いじめ、家族関係、就職、仕事の悩み、なんでもいい。
その悩みが深く、普遍的なものであるほど、「10年前のあなた」と同じ問題を抱える人の数はみるみると増えていく。時代や年齢など、置かれた状況に多少の違いはあったとしても、それは変わらない。p162-163
文章の行く先を想像することは、より良い文章を書くためには重要なことだ。古賀さんはその視点に10年前の自分をおいた。僕が文章を書くときに想定している言葉としては「ブラックジャックによろしく」の記者が言っていた次の言葉だ。
表現とは、誰かに何かを伝えるためにあります。
つまり、どんなに伝えたい事があっても誰も読まない記事は表現ではありません
ですがどんなに多くの人に読まれても、そこに伝えたい事が無ければ表現ではありませんブラックジャックによろしく 13巻 38ページ
文章を書き続けるのは己と向き合い、それを正しく他者に伝えるために表現を磨き続ける行いなのだ。古賀さんはそれを考える技術と捉えた。今日はもう一度、古賀さんの言葉を引用して終わりたい。
”書く技術”が身につけばものの見方が変わる。物事の考え方が変わる。そしてきっと、世界を見る目も変わってくる。
p17
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