超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


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「限りある時間の使い方」(オリバー・バークマン著)を読んだ。

「限りある時間の使い方」(オリバー・バークマン著)を読んだ。


最近僕はTwitterなどのSNSをどれも全く見ないようにしている。その代わりにRSSを使って必要そうな情報をブックマークしたりとか、ニュースサイトやポッドキャストで時事ニュースを見るようにしてる。これに関しては、やはりその瞬間瞬間のトレンドというのを取りこぼしてるようなのであるが、はたしてそのトレンド情報が自分にとってどれほど役に立つのかということを考えると、これは別になくても困らないものであるなと感じる。


まぁ、アカウントなどは残してあるし、たまに連絡が来てないかどうかの確認はするようにして、連絡用の窓口としてそれぞれのSNSは活用はしている。Twitterがいつ見てもワイドショー的な俗悪で露悪趣味を煮詰めたようなTLになってしまってるのは、僕がアカウントの構築に失敗してたということだろう。SNSでしか繋がってない人たちというのもいるであるし、見なければいい嫌いなTLは無視して連絡用ツールとして徹底したらいい。そのSNSの風土が嫌いだということでツールの利便性まで捨てるのは馬鹿らしいことだ。


SNSを見ない代わりにKindle電子書籍を読む頻度を増やしてるのだけど、「限りある時間の使い方」という本は当たりであった。



この本はタイムマネジメントに関する本なのだけど、そこらにあるような単純な仕事術の本ではない。ライフハック系の本では時間を有効に使うためには、必要のない依頼を断る方法であるとかTodoリストで優先度の高い仕事をいかに効率よくこなすかとか、そういう自己啓発本にありがちな効率よく時間を使う方法に対してNoを突きつけてるような本なのだ。


タイムマネジメントの世界では「パーキンソンの法則」という有名な法則が存在している。1955年にシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「仕事の量は、完成のために利用可能な時間をすべて満たすまで膨張する」という理論である。


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これは、効率よく仕事をこなす仕事術が無意味であるという事を示してる。例えば、我々の生活というのは産業革命以降からどれだけ効率的に仕事をこなして、成果を高めていくのかという工夫の歴史であった。洗濯を効率的にこなすために洗濯機が発明されて、それが二槽式であったのが全自動式になり、最近ではドラム式で乾燥まで自動的にやるようになった。そうして人間がやるべき仕事を全部機械で効率化していって、人類は幸せになったか? と問われると、それでできた余暇の時間は全て別の仕事が押し込まれることになる。


特にこれはIT革命以降で情報爆発が起きた後が顕著なのであるが、仕事を楽に効率よく終わらせるためのコンピューターやインターネットの登場により、人間の仕事というのはさらに複雑で膨大になり、質が高くて大量のアウトプットを求められるようになった。


人々はスマホの発明により常時インターネットにつながるようになったのであるが、その中で人々は常にSNSで人に褒められるために素晴らしい生活をいつもシェアしなければならなかったりとか、どうでもいいような時事ニュースをシェアして繋がらなくてもいい人たちと無駄話をするために急き立てられている。何もしない時間というのが生活の中から排除されて、24時間常に見知らぬ誰かのために奉仕し続けなければいけない世界になってしまった。


こうやってシステムのために可処分時間が不足するようになって、人々はもっと効率的に仕事をしたいとか、ゆとりを持って満たされる生活をしたいという事で、時間を効率的に使うタイムマネジメントを強く求めるようになった。しかし、「パーキンソンの法則」に従うとこれは全くの無駄である。


この本の著者はかつて時間管理オタクだった頃の自分を振り返って気づいたのだというが、どれだけ効率的に仕事を素早くこなしてみても全く心が満たされないのだという。完璧な仕事術で完璧なTodoリストの管理法を身につけてみても、どれだけプライベートや仕事を完璧にこなしても満足できず、本当の自分になるためにはさらに大量のタスクをこなさないとならないような気がしてパンクしてしまったそうだ。


これはまぁ、日本語だと「足るを知る」みたいな言葉で表現される事じゃないかと思う。自分自身が本当に必要なことが何かということを知らずに、他人の承認であるとか仕事の達成感で空疎な隙間を埋めようとしても、ピースが埋まらないから虚しさしか感じないんだよね。


本書ではその空虚な自分のピースを埋めるヒントはくれるのだが、決定的な答えまでは得られない。カール・グスタフユングの言葉を引いて次のように書かれている。

1933年12月15日、カール・グスタフユングは文通相手のV夫人に宛てて、「正しい生き方とは何か」という問いに答える返事を書いた。その答えは、本書の最後を飾るにふさわしいものだと思う。
「どう生きるべきかという質問には、答えがありません」とユングは切り出した。「人はただ、自分にできるように生きるだけです。唯一の正しい生き方などありません。お望みならばカトリック教会に入るといいでしょう、彼らは正解を教えるのが好きですから」
ユングにいわせれば、個人の人生とは「みずから切り開いていく道であり、誰も通ったことのない道」である。


自己啓発本だとか他人は、色々と耳触りの良い言葉でこうすれば成功するとか、もっと効率的に生活することで幸せになれるといってくるけど、人間はそれで満足することはない。むしろ、喉の渇きを癒すために海水を飲むようなもので、かえって満たされない思いでヒリヒリする。ようするに「自分が欲しいものは自分の頭で忍耐強くじっくりと考えろ」とそういうことを書いてある本なのだけど、いろんなエピソードも引用されていて参考になる本だったよ。

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