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「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」(飲茶著)を読了した。

「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」(飲茶著)を読了した。


僕はわりと哲学にも興味が強い。何かしら世界の深遠なる真理を知りたいとかそういう理由ではなくて、人生を生きる上での指針を知りたいなという風な理由で、哲学入門書のような本を色々と読むのである。どっちかというとストア哲学のような、人生の生き方をしっかりと語ってくれる哲学が好きなのであるが、仏教などの東洋思想も捨てがたい。


最近、Audibleで飲茶氏の「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」を読了した。



僕は飲茶氏の哲学解説書が好きで、過去に色々と著作を読んでいる。今回読んだ史上最強の哲学は東洋編である。西洋哲学編の「史上最強の哲学入門」はすご本である。以前に読んだ時の感想はこちらに書いた。


www.ituki-yu2.net


飲茶氏の著作の特徴としては、難しい哲学の概念についてものすごくわかりやすく例えて解説してくれるのである。「史上最強の哲学入門」は、西洋哲学のやたら難解な流れをズバズバとわかりやすく説明してくれるのである。哲学に興味があるけど何から読んだらいいか分からないという風な人にはまずこちらの書籍から入ることをオススメする。


「史上最強の哲学入門」の続編ということで東洋編についても読んでみることにした。ひとまず読了した。こちらもなかなかに面白くてエキサイティングな哲学読本であったな。


この東洋編で解説されてる東洋哲学というのは、インドのウパニシャッド哲学が生み出した「梵我一如」の概念が、ブッダ老子などの偉人たちに引き継がれつつ、東へ東へと旅をしていき日本の「禅」にまで辿り着くまでの歴史を説明してくれる。


「悟り」という概念については仏教でよく語られることが多いことから、ブッダが生み出した概念と思われがちだ。実はそうではない。ブッダ以前のウパニシャッド哲学の哲学者たちがすでに、ブラフマンアートマンが一体となった時にすべての苦しみから解き放たれる梵我一如の境地があるということを説いている。ブッダの果たした役割というのは、それらのウパニシャッド哲学の梵我一如の境地に至るためにはどのような修行をしたら良いのか? という風なノウハウをわかりやすくまとめて広めたという所である。


悟りの概念(梵我一如)というのは仏教によってさらに洗練されていく。仏教の開祖はブッダである。ブッダが伝えたその教えは口伝であった。その理論体系をまとめ上げたのは弟子である龍樹(ナーガールジュナ)である。龍樹の思想は般若経という仏典で後世に伝わっていく。般若心経はその「空」の思想の奥義を短いお経にまとめたものである。空の思想は、構造主義のような、物事はすべて関係性の中に現れるという縁起の思想である。


インドで知識体系としてまとめ上げられた悟りの概念は中国へと伝わっていく。中国の春秋戦国時代にはさまざまな思想家が活躍する百家争鳴の時代があった。その中で政治哲学として儒教や法家が国家の中心では活躍していく。そんな中から離れたところで老荘思想が悟りの概念を受け継ぎ広めていく。


老子は正体不明の人物であり、その人物が書いた言葉は残っているのだが、本人は自分の思想を誰かに伝える意思などなかった。世俗が嫌になって遁走しようとしてた時、弟子である門番に捕まってしまい、嫌々その思想の奥義書を書かされて残ってるのが老子の思想である。


老子の思想というのは悟りに至った後のその後の考え方などを語っている。老子の伝説では、老子は祖国を飛び出して行った後に、インドへわたりブッタになって悟りを広めたというぐらいに両者の悟りの思想は似ている。老子の思想は悟った後の人間がどんな風に考えて世の中で処世するかということである。


老子の書いた書籍である「老子」はそもそも読んだ人がわかるように書かれているものではなかったらしい。その老子の思想を受け継いで、思想体系をまとめ上げたのが荘子である。「胡蝶の夢」などで現代にも伝わっている老子の思想は荘子がまとめた。その関係性はブッダと龍樹の関係と類似しており、師匠が作り上げた概念を、説明のうまい弟子が語り継いでいくというのが東洋思想によくある形である。


インドで始まった悟りの思想は、中国で体系づけられて日本に伝わった。達磨がインドから中国に禅を伝えて、そして南宗と北宗に別れて行った。日本に伝わっている臨済宗曹洞宗は南宗から広がったものである。


悟りの思想が禅に至って完成した。その思想の究極を示したのが「十牛図」である。牛と牧童の姿を通じて悟りに至る段階を示した図式であるが、そこでは悟りがこの道の終わりではないことを示してる。悟ったのちにまた世界へと戻り、何もなかったように過ごしていく図が示されている。悟りの思想はこのように歴史を積み重ねながら洗練されてこの境地に至った。


とまぁ、こんなふうに僕はこの書籍の内容を簡単にまとめてみたけど、興味がある人は読んでみるといいと思う。やっぱ飲茶さんの哲学入門書はめちゃくちゃおもしろいし、色々と考えを深めるタネになる。Audibleのサブスクを契約してる人だと無料で聞けるし、本としてもおもしろいから損はない。

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