小説を書くときはプロットを書くか書かないか問題。
このところ筋トレを始めたことで若干モチベーションは落ち気味ではあるが、夜に30分だけ小説を書くことはずっと続けてる。今のところ全5章の2章の終わりの詳細プロットを書いてるところであり、物語の筋はほとんど完成している。あとは細部のイメージを補完していき、文章のディティールのブラッシュアップを進めていく感じ。
小説の書き方というのは人それぞれであるが、僕の場合は徹底的なプロット派である。以前までは全体のラフスケッチのようなプロットを書いたらすぐに本文を書き始めるというやり方をやっていたが、今回の「オンミョウデザイア」については、詳細プロットまで書いて全体の流れははっきりとさせて書くやり方をやっている。
「いきなりアイディアのままに書き出す派」と「徹底的にプロットを書いて不明点を潰して書く派」については、昔から創作者の間では激しい論争が行われている。こういう論争については以前、「アウトラインから書く小説再入門」で読んだことがある。
僕は両方とも試してみたことがあるけど、掌編から短編までならいきなり書き出すのでも問題ないかと思う。数万字になるような中編以上の作品を書こうと思うなら、プロットを固めずにいきなり書き始めるのは、よっぽど記憶力が優れた天才でもなければ無理じゃないかな?
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」のような作品であれば、インスピレーションを積み上げて幻想的なマジックリアリズムを構築するというので即興書きでもできるかもしれない。また、村上春樹さんも筆のノリに任せて物語が転がるに任せてると聞いたことがある。
しかしまぁ、僕が書きたいのは、物語の構造に合わせてちゃんと肉付けして作るようなエンタメ作品である。どうも僕の性格的には、いわゆる「王道」と言われてるような物語展開の構造を抜き出して書くのが好きだ。そちらにさまざまなキャラクターの魅力であるとか展開させたいシュチュエーションを組み合わせていくやり方の方が性に合ってるようである。なので、物語の本文を書き出す前にみっちりとキャラクター設計書や全体の展開のプロットを固める。
この、「いきなり書き始める」のと「プロットを固めて書く」のは、どちらの方が優れてるという問題じゃないんだよね。どちらも一長一短あって、それぞれの創作者が自分に合った書き方を選んで使うという感じ。
いきなり書き始めることの良さは、モチベーションが一番高い時に本文を書き始めるので、文章のノリや物語の展開が勢いが良くなる。小説を書いていても楽しいし、書いてる物語もエモが高い。問題点としては、長編の場合、作品を書き上げるまでモチベーションを維持し続けるのが至難の業である。最初の勢いだけで書き始めると、大概途中で展開に詰まったりとか、書いてることが方向性迷子になって、未完で終わってしまったり勢いだけのよく分からない作品になりがちである。
プロットを固めて書く場合、最初の段階で最後の結末までの展開が分かっているので、途中で展開に迷いがなくなる。また、物語に構造を含めたりとか、伏線を張り巡らした重厚な物語を書こうと思うと、プロット抜きでは難しいだろう。欠点としては、設定を考えたりプロットを練ったりする作業は際限がないということである。延々と物語に使いもしない裏設定を大量生産して、本文を書くよりも設定を練る方が楽しくなっちゃってる人はよくいる。いつも設定を練る段階でモチベーションを使い果たしてしまい、肝心の作品を作れないワナビも多い。
「小説書きてー」と思ったのなら、まずはそのアイディアで書ける文章の分量を考えた方がいいと思うんだよね。とある恋愛の告白シーンだけ浮かんだ単発のアイディア一発勝負で終わりそうなら、その書きたいシーンだけをずばっと5000字程度の掌編でいきなり書いてしまうのもいいだろう。頭の中で駆け巡ってるアイディアが、世界観も含めた壮大なファンタジーのようなものの場合、きちんとプロットや設定集も書かずに作品を仕上げるのは無理である。
こういうのは、執筆行為に対する作者が持ってる固定観念というのも組み合わさった問題かなと思うんだよね。執筆活動というのは、作者が持ってるモチベーションや持ち時間をいかに効率的に使って執筆作業を行うのかというプロジェクトである。長編小説を書こうと思うのなら、数ヶ月から数年は毎日その物語世界のことを定期的に考えないとならない。小説執筆の最初の段階でその採用するアイディアが長期間の作業に耐えられるぐらい魅力的かどうかはよく考慮しておこう。
結局のところ、方法はなんであれ、物語を完成させることができたらそのプロジェクトは大成功なんだよね。物語の中で一番悲惨な物語は何かと問われると、未完のままで止まってしまい結末が分からない作品だ。とりあえず書いてみて、どうしても展開が思いつかなければ「これまでいろいろあったけど、最後はみんな仲良く楽しく暮らしましたとさ。おしまい。」と途中で一文を付け加えてしまうのもありだ。小説執筆は「書き始めること」そして「ちゃんと終わらせること」が一番難しい。物語を書きたい人は、頭の中にさまざまな想念が駆け巡っているであろう。それをまず言葉にすることが大事だ。