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「陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム」(秦正樹著)を読んだ。

陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム」(秦正樹著)を読んだ。


最近、陰謀論などの怪しげな情報を信じる人というのはどのような傾向があるのか? というのに興味を持って、こちらの新書を読んでみた。



陰謀論にハマっちゃう人というのは、保守だろうがリベラルだろうが、政治的な知識が洗練されていようが関係なく、自分が心地よいと思うような情報ばかりを集めてバランス感覚がない人はハマり込みやすいという分析がなされていた。ただ、全体的な傾向というのはあるようであり、民放の政治バラエティなんかが好きなタイプというのは陰謀論にハマっちゃうことが多いらしい。


時事ニュースを取得する先のメディアにもお堅いところと柔らかめの所がある。ニュースを娯楽として消費する人というのは、日常的に摂取する情報の中にもケレン味というのを求めがちであり、何かしら突飛な見出しであるとか意外性のある内容みたいなものを好むのではないかと思う。外からくる情報に刺激を求めるような人というのは、ニュースで怒ったり喜んだり、感情を乱高下させることを目的としてニュースを摂取したりする。そういうニュースに刺激を求めるタイプは陰謀論にハマりやすい。


また、意外ではあったのだがTwitterを使ってる人は陰謀論にはまりこむかどうかというのは、有意差はないらしい。僕自身の観測範囲の問題であるかと思うのだが、Twitterをちょっと深掘りしてみると、反ワクチンやらQアノンやらを信じ込んでトンチンカンなツイートをしているユーザというのは山ほど見つかる。しかし、Twitterの大半のユーザというのは、日常的な会話を限られたFF関係の人たちとやってるだけであり、マジョリティのTwitterユーザはあの手の陰謀論に触れる可能性というのは低いようだ。どうも、Twitter陰謀論やらで盛り上がってる界隈というのは、特定のクラスターだけで情報が循環していて、周りのクラスターには情報が広がっていかないらしい。


政治的な興味度合いとこのような陰謀論を信じる率というのは有意であるようであり、日常生活が充実していてとくに政治的な話題に興味がないリア充タイプというのは陰謀論にはまり込む確率は低いようだ。なにか生活に不満を持っていて、社会に働きかけて問題解決しようという意識が高いタイプは陰謀論には捕まりやすい。これは保守だろうがリベラルだろうが関係なく、ネットにはそれぞれの政治傾向に膾炙するタイプの陰謀論というのが用意されている。


たとえば、保守系陰謀論としては嫌韓などの排外主義と強く結びつく。保守系陰謀論者の特徴としては、自分自身の考え方が普通であることにこだわる。自分の考え方の方が普通で、社会の方が間違ってるという認識にはまりがちであり、「普通の日本人」という風なラベルを自称することが多い。


この傾向は日本社会では政治的な話題が嫌われることから生み出されているのではないか? と分析されていた。本来の政治的な保守主義の考え方とは違うところにオンライン保守主義陰謀論があるのだが、自分は政治的に偏りを持った人間ではなく、素朴に社会問題に対する気持ちを吐露してるのだという考えがこの手の人たちは強い。こちらの人たちはまとめサイトやYahooコメントに多く存在しているようだ。


リベラル系がはまり込むタイプの陰謀論としては、今現在だと自民党のような与党が、支持率が落ちた時に北朝鮮がミサイルを発射するとか、何か与党の政治家のスキャンダルがあった時に芸能界でもスキャンダルが連動して発生するという陰謀論である。そういう政府の裏側の働きを想像してなにかしらの陰謀が働いていると考えることが多い。また、近年だと選挙権が18歳以上からという風に選挙権の拡大が行われたけど、若年層には与党支持が多いらしく、この選挙権の拡大が自民党の利権のために行われているなどと考える陰謀論があったらしい。選挙などそういう民主主義の政治スタイルに対する不信感というのはリベラル系の陰謀論者の方が強い。


僕自身の話になるのだが、僕自身もどちらかというと政治的な興味とか社会で何が起きてるかということに興味が強く、気をつけないと陰謀論にハマってしまうだろうなーと思う。僕もどうもその辺りは気をつけていて、あまりあやふやな情報源に近寄らないように気をつけている。昔の僕はネット掲示板などそういうところに意外なお得情報みたいなものがあるのかと思っていたけど、今では素人が出してるような動画やらブログの政治経済情報というのは眉唾でみるようにしている。


とはいえ、僕自身がこんなふうにブログで社会的なことを語ってたりなど、今の情報社会の現状というのは万人がそれぞれの思うところをネットで情報発信を行い、それぞれで小さなコミュニティを作っている。その中で恣意的な情報が広がってしまう可能性というのはどうしても拭いきれず、どれだけ正確性にこだわっても個人のメディアでは限界があるのだろうなとも思う。


トランプが大統領選挙で負けた時に陰謀論を信じる支持者を焚き付けて連邦議会を襲撃したみたいに、陰謀論というのは現代のIT技術が生み出した民主主義のバグであるなと僕は思う。そこんところをしっかりと理解するためには人間はどのようにして信じるものを決めるのかというのをよく知らないといけないと思う。そういう人間心理とか情報のあれこれというのは僕の興味のある分野なので、これからももうちょっと調べていきたい。

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