超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


SPONSORED LINK

「しょぼい生活革命」(内田樹、えらいてんちょう著)を読んだ。

f:id:yuki_2021:20201109220932p:plain

「しょぼい生活革命」(内田樹、えらいてんちょう著)を読んだ。


「しょぼい生活革命」という本を読んでみた。


色々と考えさせられる本であったな。一つのテーマでまとまっているのではなくて、内田樹とえらいてんちょうが対談で現代問題について色々と述べていくという風な本であった。


しっかしまぁ、僕はネット論客というのをあんまり信用できる人種と思ってないのですね。twitterなどのSNSが発達して、色々と弁が立つ人たちが表れてきて社会問題などを論じているけど、それが果たして実際の社会で有用性を持ってる理屈なのか分からない。随分と勢いが良い事言ってはいるけど、それが本当に有益なのかは、時が経って時の試練をみるまでは分からない。鬼面人を脅す様な事を言ってはいるけど、それが本当に正しい事なのかは自分の頭で考えて、実際に現場を自分で見てみないと分からない。


なんか、断片的には有用な事を言ってるなーとは思ったのですけど、全体のベースになってる思想の背骨みたいなものが読み取れなかったんですよね。ネットが発達した社会の中でどういう風考えりゃいいのか?みたいな思想を説こうとしてるのは分かるんですけど、示している全体の思想の方向性ってのが自分は読み取れなかった。


どうも、共感の議論が気になった。共感を元にして社会を作ってるからいじめなどが起きてる事などと書いているのだけど、共感って社会に不要なものなのだろうか? 共感を元にした社会は脆弱みたいな記述があったと思うけど、対話と共感というのは不要なものなのか気になった。多分、こういう事が言われる背景的な理論があるんだと思うんだけど、それが一体何なのか自分が理解できないんですね。


なんか、今の自分の論調はこの本をdisってるぽく見えるかもしれないですけど、そういうつもりでもないんです。どうもえらいてんちょうの話とかを聞いていると、えらいてんちょうは全共闘の両親の元でコミューンで育てられてきたんですけど、そういう生々しい話を聞いていると、ああいう思想と社会の流れみたいなものを考えて、そういう思想と自分の考えを相対化せんとならんかなと色々と考えたりする訳ですよ。


えらてんさんはそういう全共闘の闘士の両親に育てられつつも、自分で生活する方法を見つけて自分なりのやり方で社会に貢献して生きている。今はYoutuberなどをやってスモールビジネスの広げ方などを紹介したりして支持者を広げている。僕はえらてんさんについては、ホームレスに生活保護受給をサポートする運動をブログで書いたりしている頃に知ったのだけど、そこから色々と活動の幅を広げて政治活動をやってる感じなのを見てたりしてましたね。


内田樹さんに関しては、他にも著作を読んだことがあったと思う。左派の論客で、最近も日本学術会議の側で意見を述べているのをテレビで見た。合気道の師範をやっていて、レヴィナスの研究をやってるらしい。


そういう二人が対談をして本を出版して世の中に何かを物申すということは、何かしら社会にムーブメントを生み出したくて何かやってるんだと思うんですよ。実際まぁ、Youtubeで誰でも世の中を動かせる社会になってる事を書いてたりだとかしているんですけど、肝心のこの本で何を語りたかったのか僕はようわからんのですよ。


一応、結論らしきところではこういう事が書かれていた。

内田 中国、ロシア、フィリピン、トルコ……と非民主的な体制のところがいまのところ成功しているという事実があります。そして、ヨーロッパや日本では極右が進出してくる。彼らは右翼というよりは、強権的な支配を好む人たちなんです。民主的な粘り強い対話によって合意を形成するのが嫌いなんです。それよりは、外交も、経済政策も、教育も、医療も、全部トップが決めて、上意下達で末端まで指令が行き渡るシステムの方が好ましいと思っている。だから、自民党や維新を支持している。そして、そういう日本人が無意識に参照しているのは「中国の成功例」なんです。わずかの期間にここまで成長した中国について、彼らが学習したのは、「それは一党独裁と徹底的な国民監視システムのおかげだ」ということなんです。自分ではそうと知らずに「中国みたいな国にしたい」と思っている。


この二人のネット論客はそういう流れの元で戦ってる人たちなんだなーというのは分かるんです。その割にはなんか対話と共感を否定していたりする。えらてんさんなんかは実践的に社会的弱者を救済するような活動をしてたりだとかで、そういう方向性で活動している人なんだろうけど、なんか幸福の科学みたいな新興宗教ともネットバトルしてたりだとかする。内田樹さんも実際に政治で戦ってたりするんで、この二人がどういう理想の元で戦ってるのか知りたかったんですよね。それでまぁ、読んでみたんだけど明確な理想みたいなものは分からなかった。あとがきで書かれているのもなんか理屈で煙に巻く感じだし、どこを目指して書かれた本なのかよく分からないんですよね。


僕がこういうメンドクサイ事を書いているのは、ネット空間でひたすら反アベとか権力に反動的な活動をしている人たちが、実際的には社会を良くするために有効な言論をできてなかったのだなみたいのを感じているからなんですけどね。ネット論客がネット空間でやってるのは議論じゃなくて違うイデオロギーとの単なる煽りあいだし、そういうのとは違う論理による思想的な積み上げみたいなものをちゃんと感じてみたかったと、割と期待度が高かったんですよ。結局、この本でも断片的な知識ばかりで、社会の問題点は指摘するけどなんか好戦的な結論だしがっかりした。


まぁ、自分自身がどういう立場で政治や社会に向きあうべきなのか自分でもよく分かってないんですよね。ネットでは知識人と呼ばれる人たちはいるけど、どうやって生きるべきなのか?という考え方についてはお役立ち情報ばかりで、実際に方向性を示せる人というのが不在なんだと思う。こういうのは自分でいろんな本を読んだり人にあったりして見つけるべきなんでしょうね。


追記。自分で書いてみたものを読み返してみたけど全部却下。そもそもよく分かってないものを論じようとすること自体が無理な話だ。とりあえず自分は腹落ちしなかっただけの話でした。


しょぼい生活革命

しょぼい生活革命

プライバシーポリシー免責事項