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人間の無意識はなんでもない概念にも強く影響を受ける。

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人間の無意識はなんでもない概念にも強く影響を受ける。

ライミング効果という面白い現象


今、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読んでいるんですよ。最近、行動経済学に興味があってそれで色々と本を読んでみようと思ってる。人間の無意識の行動原理というのは昔から興味があったんだけど、行動経済学は面白いですね。実際、こういうことが統計学的に明らかになってきてるわけでしょ? 人間というのは自由意志を持ってるように見えて、無意識的なことに思いっきり影響されているというのがよく分かる。


この本に関してはまた読み終わったあとにでも感想を書くかもしれないけど、読んでいる最中でも面白いところがポンポン出てくる。そのなかでも気になったことは日々のブログの中でも書いていこうかと思う。今回、書こうと思ったのはプライミング効果のことだ。


ライミング効果というのは、とある先行語の後だと次に文字の穴埋め問題などを出されると、しばらくは先行語の影響を受けるという風な現象である。たとえば、「食べる」という単語を見たり聞いたりしたあとだと、「SO■P」という単語の穴埋め問題を出されるとSOAP(石鹸)よりもSOUP(スープ)と答える確率が高まる。


辞書的な意味はコトバンクで調べたので、そちらの方を参照してみるとよいだろう。


kotobank.jp


これで面白いと思ったことは、プライミング効果が影響するのは言葉選びなどだけに関するだけではないということである。概念というのは無意識的に自分たちの行動結果にも影響しているという面白くも恐ろしい実験結果が出ているのである。


ジョン・バルフが行った実験がある。この実験ではニューヨークの大学の学生に5つの単語から4単語の短文を作るように指示を出した。(たとえば、彼・みつける・それ・黄色・すぐになどである)この時、ひとつのグループには文章の半分に高齢者を想起させる言葉を混ぜておいたのだ(フロリダ・忘れっぽい・ハゲ・ごましおなど)このあと、他の教室に移動する時間を測定してみたら、高齢者を想起させる言葉を混ぜた群はほかのグループよりも行動の速度が遅くなったのである。


つまり、高齢者というプライムを受けた学生たちはその言葉に影響されて行動が変化してしまったのだ。これは無意識下で起こったことで、人間は特に意識せずとも言葉によって人の行動は変化させられてしまうということを示している。観念によって行動が変わるというプライミング現象はイデオモーター効果と呼ばれている。

人間は概念によって行動に影響を受ける。


このイデオモーター効果の話を聞いたときに想像したことは、人間は普段から頻度が多く接触している情報に強く行動を操作されているだろうなーということだ。高齢者を想起させられる言葉を並び替える実験をするだけで、行動速度が変わってしまうならば、世の中にあるテレビやネットの情報を浴びるように受けている人たちは凄まじく他人の影響を受けまくりだろう。


いや、実際にこれがどの程度、行動を左右することなのかは分からないけど、おそらく人間の行動というのは自分が想定しない無意識の所で環境から多くの情報を受け取って、自分が自由意志と思っていても実際は環境に操作されているのだ。


これは普段使っている言葉遣いとか書いている文章も自分の意識に影響を与えているのではないか?と考えた。楽しそうなことを書いていれば気分も楽しくなってくるし、ネガティブなことを書いていれば気分も落ち込んでくる。これは書いている人だけではなくて、読んだ人もその文章から影響を受けてしまうのである。


実際、こういう実験結果も得られている。大学生に鉛筆を縦に口をすぼめてストローのように加えてもらう群と、鉛筆を横に加えてもらう群で漫画を読んでもらった。結果は鉛筆を横に加えて笑顔になっている群の方が漫画を面白いと感じていたのである。


人間の心理というのは、悲しいから顔をしかめたり嬉しいから笑ったりしているのではなく、起こしている行動と感情は相互に影響しあってるというのが分かっている。

まとめ


人間の心理は得られる雑多な情報から大きく影響を受けている。これは普段、習慣的に眺めているSNSのネガティブなどが情報が自分たちの気分や行動に大きく影響を及ぼしているかもしれないという恐ろしい推論も導き出す。


人間は普段から習慣的に摂取している情報通りの人間になっていくんだよ。何か楽しい話を好んで読んでいる人は愉快な性格になっていくし、ヲチとかそういう後ろめたい情報ばかり得ている人間は陰険な性格になっていく。好んで取得する情報だけじゃなくて広告もそういう無意識へ影響を及ぼそうと色々と工夫されている。


日常的に見る情報は厳選しないといけないなと思った。できるだけ無意識には好ましい情報を教え込んでやらないと、気分も行動も悪い方に左右されるかもしれない。マザー・テレサの言葉に次のようなものがある。こういう細かなことが人生を左右することもある。

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。

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