「下町ロケット」(池井戸潤著)を読了した。
オーディオブックで読むのは小説だけに限った方がいい。
僕はこのブログでは読書感想文なんかも書いてたりするけど、それほど読書をする時間というのは潤沢ではなく、主に本の読み方としては会社への行きかえりの通勤時間でオーディオブックを聞くことで読書をしている。
オーディオブックの良さみたいなものは、このブログでも今までも何度か書いたと思うのでもう言及しない。時間がないビジネスパーソンには割合、読書の仕方としては優れたやり方であるかと思う。でも、デメリットもありまして、オーディオブックではシーケンシャルな読書のやり方しかできない、というのはある。
本の読み方というのは、頭からしっぽまで順番に読んでいく本と目次と索引を調べて該当箇所だけ読めばいい本がありまして、小説は頭からきちんとシーケンシャルによまなければ面白くない。でも、新書やらビジネス書の様な本って、何冊か読んでれば内容が重複する所ってたくさんあるのでシーケンシャルに読むのは無駄が多い。新書やビジネス書は、飛ばし読みで必要な所を重点的に読めばいい。こういう種類の本をオーディオブックで読んでしまうと、要らない部分を飛ばし読みできないので時間が無駄だ。
それに検索性の問題もありまして、ブログやメモを書いていてあの本のあの事柄について書きたいなーって時にオーディオブックだと調べて引用することが不可能でして、こういうのは普通の紙の本とかkindle本とかの方がいい。
でも、オーディオブックの利点というのは、物語の内容などを臨場感をもって楽しむことができるので、こういう点で本を最初から最後までシーケンシャルに読まないといけない小説などと相性がいいなーと思うんです。オーディオブックの方が普通の本と比べて感動の度合いが高いという現象もありうる。
なので、僕はオーディオブックに関しては小説で物語を楽しむ読書の場合をメインとして使ってます。
池井戸潤はサラリーマンをやる気にする小説を書く。
今回、池井戸潤の「下町ロケット」を読んだのはaudibleでキャンペーンをやっていて、無料だったんですね。池井戸潤に関しては、半沢直樹の原作を全部読んでいたと思うけど、内容は忘れてしまった。でも、面白い小説を書くことは知っていた。
前も、「7つの会議」という池井戸潤が書いた小説を読んで感想を書いたことがあった。こちらだ。
池井戸潤の小説は、半沢直樹にしてもそうなんだけど、実際に企業の組織に属して働いているビジネスマンにとってはすごい臨場感を持って楽しむことができる。なんか、どうも僕の精神性というのは「黄色と黒は勇気の印」的なスポコンマインド大好き人間なので、池井戸潤の小説って相性が良いみたいです。
なんかビジネスをやりたくなった。
下町ロケットは、下町の中小企業(売上が10億を超えていたり、社員数が100人は超えているらしいので中堅ぐらいだろう)が、裁判や大企業との交渉を経て、宇宙ロケットのパーツの自社開発を勝ち取るまでの物語なのだけど、実際に中小企業での経営の様子や考え方などを事細かに描写されている。
資金繰りで銀行のやり取りをしていて、危機に陥ったときにベンチャーキャピタルの人間とやり取りしたり。そのベンチャーキャピタルの人間というのが明らかにベンチャーにいそうな崩れた自営業者風の男だったりと、描写が細かいんですよ。実際に自分がビジネスをやってるとこんな風にピンチが急にやってきたりだとか、何とか知恵を絞って資金繰りや組織統制を切り抜けたりだとか、中小企業の社長の考え方がリアルなんです。
大企業の中の社内政治の様子も興味深かったですね。社長に意見を稟議に出すまでにも相当組織で揉めて、それでも信念がある方が勝つ。