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「21 Lessons : 21世紀の人類のための21の思考」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読んだ。

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「21 Lessons : 21世紀の人類のための21の思考」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読んだ。


audibleのオーディオブックでユヴァル・ノア・ハラリ著の「21 Lessons」を読了した。


21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考


本書はユヴァル氏が書いた「サピエンス全史」「ホモデウス」に続く、人類史を過去から未来まで描き出す3部作である。「サピエンス全史」では人類が原始の時代から現代文明に至るまでの文明の進化を描いた過去編であり、「ホモデウス」は人類が進歩してホモサピエンス以上のなにかに進化していくまでの未来を描いた本であった。本書「21 Lessons」は、現代編といえるユヴァル氏の著作である。AIなどのテクノロジーが発達してきて情報社会が進んで複雑になった現代で、実際に何を考えて生きるのかのノウハウまで踏み込んだ文明を読み解く書である。


僕はユヴァル氏の著作については「サピエンス全史」は読んだことがあったんですよ。人類の進歩について驚かされるような解釈をしている知的興奮にあふれる本でした。なので今回の「21 Lessons」についてもユヴァル氏の著作ならば間違いあるまいということで購入した。「ホモデウス」はまだ未読ですね。今回の「21 Lessons」でユヴァル氏の思想全般が気になったので後々読んでみるつもりだ。


そいじゃまぁ、読書メモを公開して軽く感想などでも述べてみますかね。


《ココカラ》

人類史を語り継ぐものとして物語があって近代史において物語は資本主義と共産主義とナチズムがあった物語の主流は自由主義であったがそれがポピュリズムによって難航しつつある


AI によって仕事は奪われつつあるおそらく人間の欲望がある限りは AI が完璧人間の役割を奪うということはないだろうがそれにしても労働は完璧に失われるかもしれない。それに対応する方法としてはベーシックインカムなどが考えられる。労働は全部AIに任されてしまって人間の収入などは全部政府が保証する。


ビッグデータアルゴリズム独裁国家と相性がいい。


政治家の決定もアルゴリズムでなされる事で、人間がコンピュータに支配される可能性。


グローバル国家になる可能性というか必要性というのは自国だけでは国民を富ませる物品を生産することができないまた人類にとっても脅威というのは核戦争や温暖化などそういうふうなものに対抗するためにはグローバル化せざるを得ない


宗教と科学の問題集今日は元々科学がやっていた役割を果たしていたのだが科学が発展するに従って宗教の役割とようななくなった。だが宗教というのは民族をつなげる働きをしており国家を作る一つの要素となっている


物語は人を支配する役割をしているどういう物語を信じるかで集団は動きまた動かされている政治家や神職者などはそれをうまく利用して人をコントロールするようにしている

《ココマデ》


AIが発達することで人間の思考をハックするアルゴリズムが生まれることをユヴァル氏は警戒しています。現時点のインターネットを見るだけでも分かるのですが、Googleアドセンスはリターゲティング広告と言って、cookieを使ってユーザが見た情報にあった広告を繰り返し出すようになっている。アルゴリズムを使って、ユーザの趣味嗜好をうまく利用した広告を出すようなテクノロジーは既に利用されています。


この機械学習アルゴリズムにバイオテクノロジーの進歩が加わると、更に個人の思想や癖などもコントロールするようなシステムが出来るかもしれません。アップルウォッチのようなウェアラブル端末からビッグデータを集めることで、口には出さないけどバイオリズムで分かるような物事の好き嫌いを理解したようなAIが生み出される可能性があります。こういうシステムが生み出されると、人間の生活というのはAIに支配されてしまいます。個人の趣味嗜好を完璧に理解して、その時々の気分をハックしてコントロールするような音楽をスマホから流したりするAIが生まれます。


別にこのAIのシステムが広告に利用される程度なら可愛いものですけど、独裁国家の支配のためにAIが利用され始めるとそれこそSFの「1984」のビッグブラザーの様なシステムが本当に実現してしまいます。人間が何を考えるかまでコントロールするような究極のディストピア国家が実現可能なのです。


人間というのは物事すべてを物語の形式で理解するのですが、政治も宗教も人々の求める物語を利用することで支配をしています。このあたりは千野帽子著の「人はなぜ物語を求めるのか」あたりがわかりやすいかもしれません。


www.ituki-yu2.net


政治家や聖職者などもこれからAIなどのシステムを利用して、効率的な人民支配の物語を利用してくるかもしれない。実際にナチスにせよ共産主義にせよナショナリズムにせよイスラミックステートにせよキリスト教にせよユダヤ教にせよ、太古の昔から民族の物語などをうまく利用することで人民をうまくコントロールしてきたのだ。


ユヴァル氏はこれらの物語からうまく離れて個人の考え方を取り戻す方法に「瞑想」を勧めている。自分の身体の感覚に注視することで、心のコントロールを取り戻すのだ。物語の支配から抜け出すためにはロジックを捨てて身体性に立ち戻るというのが結論だったのかもしれない。そうすることで、冷静に世の中を流れている物語を見比べて、本当に自分が必要としている物語を選択するのだ。


総論としては、ユヴァル氏はサピエンス全史のときから、人類が文明を創り進化してきたのは物語の力を手に入れたからと書いているんですよ。鳴き声から言語に変わったものの集団を支配することができないコミュニケーションだったのが、「神」の存在を作り出すことで大きな統率の取れた集団を作り出すことができた。それぐらいの昔から人類は物語に依存して、物語に支配されてきた。情報社会の現代では物語の拡散スピードが恐ろしい速度になっている。また、AIの様なコンピュータシステムを利用することで、膨大な人類の個別にまでそれぞれが好む物語を提供して支配することまでできるようになっている。そんな世の中で、何を考え理解して行動するために実際に使える本だと思いました。


21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

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