
第30回 シュガーホール新人演奏会に行ってきたよ(2025)
今日は日曜日。夜になってからブログを書いている。さっきまで第30回シュガーホール新人演奏会に行ってきた。クラシックの生演奏を聴くのは決して多い方じゃないけど、この新人演奏会だけはなぜか毎年通っている。僕の中では、もはや年中行事みたいなもので、ブログにも毎年のように書いてる。馴染みのホールだから毎年恒例だけど、毎年首を捻りながら帰ってくるもんな。
なぜ定期演奏会ではなく、より難解な新人演奏会なのか。我ながらよくわからない。普通はもう少し耳馴染みのある曲でリラックスして聴くものじゃないのかと思うけれど、それでもやっぱり毎年通ってしまうのだ。まあ、いいじゃないか。毎年、「難しいなあ」と首をひねりつつ、それでも聴いてよかったなと思えるのだから。
さて、今年の感想をざっと記しておこうと思う。

| 受賞 | 演奏者・伴奏者 | 作曲者名 | 楽曲名 |
| 入選 | 髙橋 茉椰(ピアノ:松川 和典) | R.シュトラウス | 歌劇《ナクソス島のアリアドネ》よりアリア「偉大なる王女さま」 |
| 入選 | 柏木 侑佑 | E.イザイ | 無伴奏ヴァイオリンソナタ 第4番 ホ短調 作品27 |
| 入選 | 上地 佑生 | J.イベール | アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲 |
| 共演者賞 | 志水 栞音 | — | — |
| 優秀賞 | 坂本 郁生 | S.ラフマニノフ | ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 作品36(1931年版) |
| 入選 | 尾崎 夏子 | R.R.ベネット | アフター・シリンクスⅡ |
| 入選 | 戸田 晴花 | N.パガニーニ | 「ネル・コル・ピウ・ノン・ミ・セント」の主題による序奏と変奏曲 |
| 沖縄賞 | 大城 そのか(ピアノ:松田 貴子) | H.トマジ | 協奏曲 第1楽章 Andante et Allegro |
| グランプリ | 関根 美羽(ピアノ:伊波 蘭菜) | R.プラネル | トランペット協奏曲 |
まず印象的だったのはソプラノの高橋さん。シュトラウスのアリアを演奏していたけれど、情感たっぷりで引き込まれるような歌声だった。ソプラノって、技術だけでなく舞台での「見せ方」も含めて完成されるものだと思っているけれど、まさにそんな風格があった。
ヴァイオリンの柏木さんはイザイのソナタ。これがまたかっこよかった。今回の演奏で、バイオリンって弓で弾くだけじゃなくて、つまびくような奏法もあるのかと気づかされた。イザイという作曲家は知らなかったけれど、Apple Musicで探してもっと聴いてみたくなった。
アルトサックスの上地さんは、イベールという作曲家の曲を披露。これがまた色彩豊かで、メロディがくるくる変化していく感じが面白かった。現代音楽寄りなのかもしれないけれど、耳に残る印象が強い。
坂本さんが演奏したラフマニノフは、てっきりピアノ協奏曲の2番かと思ったら、ピアノソナタの2番だった。でもその重厚さは期待を裏切らなかった。終盤に向かっていくあの音の重なり方、あれはやっぱりラフマニノフだなあと感じた。
マリンバの尾崎さんの演奏は、不安とか不条理といった感情を音で描いたような現代音楽だった。こういうのって好みが分かれるかもしれないけど、演奏の力量の高さは感じた。
続いて、パガニーニを演奏した戸田さん。これはもうテクニックの塊だった。複雑な旋律が重なって、感情表現まで緻密に作られている。バイオリンでここまでできるのかと、ちょっと衝撃だった。
沖縄賞を受賞した大城そのかさんは、トマジの交響曲。聞きなれない作曲家だけれど、これまた難曲。曲調が次々と変わるので予測がつかないけれど、それがまた面白い。力量もしっかりしていて、聴き応えがあった。
最後にグランプリを取った関根さんは、ブラネルのトランペット協奏曲を演奏。前説で「可愛らしい曲調」と紹介されていた通り、明るくて元気で、まさにトランペットの魅力が詰まった一曲だった。テーマがはっきりしていて、普段聴きにもよさそうな雰囲気だった。
こうして毎年参加しているシュガーホールの新人演奏会。定点観測みたいなものだ。全国から実力のある若手演奏家たちが集まってくるので、クラシックに触れてみたいと思ったときにはちょうどいいイベントだと思う。今年は、琉球交響楽団の定期演奏会なんかも行ってみようかなと考えている。やっぱり新人演奏会は曲が難しくて、なじみのある曲に出会えることが少ない。
僕はフォーレとかラヴェルあたりのロマン主義が好きなので、その辺りの演奏会があれば、わざわざ内地まで行かなくても、沖縄で聴けるならぜひ行ってみたい。