超メモ帳(Web式)@復活

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ナイアシン療法で統合失調症が治るというのはデマです。

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最近、ブログ村統合失調症カテでナイアシン療法が流行ってるらしいんだよな。タイトルのデマってのはちょっとオーバーで語弊がある言い方なんだけど、ナイアシン療法は過去に完全に否定された治療法です。なんでこういう過去の遺物が今頃になってブームになってるかよくわからないんだよな。情報の出どころはなんとなく分かったんだけど、完璧なビリーバーなんでお触り厳禁な対象だなってのは分かる。こういう奴に下手に触れるとヒステリー起こして人格批判を始めるから手におえないんだよね。

 

ま、それはともかく「ナイアシン 統合失調症 デマ」でGoogle検索しても上位にろくな情報がないから、僕が書いておこうという検索エンジン狙いの記事である。僕は別に精神医療の専門家ではないけど大学で心理学専攻してたからある程度、精神医療の知識はある。統合失調症に関しては当事者なので実体験を含めたいろんな情報を持ってます。そういう中途半端な素人が書いている記事という事は理解した上で、怪しげなところは自分でググるなりして補って読んで下さい。

 

まず、ナイアシン療法について軽く触れとくか。

 

ナイアシン療法というのはエイブラハム・ホッファー博士という人が1950年代に始めた統合失調症の治療法である。統合失調症の発症仮説のうちアドレノクロム仮説というモデルに基づいた治療法である。アドレノクロム仮説とは統合失調症の妄想や幻覚が、脳内でノルアドレナリン代謝物であるアドレノクロムが大量に生成されるから起こるという仮説だ。ナイアシンはアドレノクロムの生成を阻害するのでナイアシンを大量に摂取したら統合失調症が治るというのがホッファー博士の主張です。

 

発表された当時は信憑性がある治療法として色々と論文が出されていたみたいだけど、現代医療では基盤となる統合失調症の発症原因のアドレノクロム仮説が否定されています。

アドレノクロム仮説[編集]

現在、日本の精神医学会では否定的であり、前述のドーパミン仮説が通説となっている。アドレノクロム(英語版)が過剰という仮説で、ビタミンのナイアシンを多量に摂取する治療法が試みられる。統合失調症の患者の八割程度が良くなると記述してある出版物もある。原因として食物をあげている。ビタミン、ミネラルなどの不足によりアドレノクロムを代謝できなくなるという。血液検査でビタミン・ミネラルの量を検査する病院もある。このことは糖分の多い清涼飲料水などを多飲するようなペットボトル症候群において低血糖症が誘起されて、体内でアドレノクロムが産生される。過剰な糖分の摂取により体内中のビタミン・ミネラルが排出され、アドレノクロムを代謝できなくなくなり、脳内のアドレノクロムが過剰になって統合失調症の症状を呈するとする文献もある。副腎髄質より分泌されるホルモンであり、また交感神経の末端から出される神経伝達物質の変異は、脳内でチロシン→ドーパ→ドーパミンノルアドレナリン→アドレナリン→ストレスや過度な運動により酸化してアドレノクロムとなる。低血糖症や糖尿病の症状を統合失調症と誤診する医療機関もある。

統合失調症の原因 - Wikipedia


ひょっとしたらこっちのアドレノクロム仮説の方が正しいじゃんと言う奴もいるかもしれないが、現代の標準医療ではドーパミン仮説を元にして薬剤を作っているんだけど、それで有意差がある結果が出ているのである。現に効果がある抗精神病薬ドーパミンD2を阻害するっていうので実績をだしているということで、アドレノクロム仮説を信じるなら、現状、臨床で効果のある薬の薬効を全部、反証しなきゃいかんのである。

 

ちなみにアメリカやヨーロッパなどではナイアシン療法が主流だというヨタを飛ばしている奴もいるが、あっちの方でもナイアシン療法はすでに過去に否定された治療法である。

 

www.schizophrenia.com

 

訳してくれている人がいるので載せておく。

統合失調症を「治癒」するものとしてナイアシンマーケティングはエイブラハム・ホッファー博士によって、30年以上前(注:この訳を書いている時点から見れば50年以上前)から始まった。この統合失調症分野において、もっとも「楽観的」なものとして分類しなければならない方法は、多くの反証研究あったにも関わらず、ホッファー博士によって推進された。
 (略)

 デマルコ博士は以下のように書いた。統合失調症の治療の進展した1950年代に、エイブラハム・ホッファー博士は(ナイアシン療法)を展開した。しかし、これは1970年までに実を結すばないことが証明された。1973年7月に、ホッファー博士らの研究はAmerican Psychiatric Association Task Force Reporによって、初期の方法論的欠点があると議論されている。
 近年、新しい薬は優れた副作用プロフィールを持ち、社会的・職業的機能とでかなりの改善がみられることが証明されている。
 初期の介入プログラムにより、疾患の重篤な障害のいくつかを防ぐべきである。
 統合失調症のような深刻な病気では、証明された治療を必要とする。統合失調症の「代替」治療としてのビタミン療法は推奨されない。

デイビッド・アーウィン博士
精神医学部
バンクーバー総合病院
バンクーバー1998年1月23日日曜日

統合失調症にナイアシン療法は効かないよ - マイナス×マイナス


ナイアシン療法で効果があるとうたっている人は、ひょっとしたら代替療法統合医療としてプラシーボ効果を狙ってサプリメントを飲むぐらい別にいいんじゃないかと認識しているのかもしれない。ナイアシンの大量摂取による副作用をリストアップしておこう。

  • 胃が痛くなる
  • 胃がムカムカする
  • 吐き気
  • おう吐
  • 顔や体が熱くなる→紅潮
  • 体がかゆい
  • アトピー性皮膚炎が悪化する
  • 肝臓障害(ごくまれだが重大な物として閉塞性黄疸がある)


ナイアシンの過剰摂取による肝機能障害の症例は下記などがある。

 

www.afpbb.com

 

こういう風にナイアシン療法はリスクのある治療法なんだけど、無責任に煽ってる方々はもし健康被害が出た場合に責任を取ってくれるのかしらん? 結局のところ、ネットの情報を全部鵜呑みにしたやつが悪いとして後ろ足で砂をかけるだけだろう。統合失調症を治療するなら、普通に標準医療でちゃんと薬をのむのが近道です。少なくとも僕はそれでかなり回復した。

 

追記:2018/05/23

 

統合失調症の治療の実際はこちらの本が漫画で書かれているので参考になります。

 

 

人がどのようにしてニセ医学にはまり込むかはこちらの書籍がよく分析されています。

 

「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

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